育児休暇とは?

出産後に育児休暇を取得して育児に集中したいと考える人は多いですが、誰もが利用できるわけではありません。育児休暇にはどんな特徴があるのか、見ていきましょう。
事業主が従業員の育児のために設ける休暇
育児休暇と育児休業は名前が似ているので混同しがちですが、同じものではありません。育児休暇は企業が独自に設ける制度で、従業員に育児の時間を確保してもらうためのものです。
法律で必ず育児休暇を設けなければならないと決まっているわけではなく、どの企業にも育児休暇があるとはいえません。
企業によって微妙に名称が異なる場合があり「育児目的休暇」「子どもの看護休暇」などが育児休暇に当てはまります。また「育休」という言葉を使うときは、育児休業の方を指していることが一般的です。
育児休業との違い

育児休暇と育児休業の違いを理解して、積極的に利用することが大事です。どのような違いがあるのか、見ていきましょう。
実施する組織の違い
育児休暇は企業が努力義務で設けるものです。配偶者の出産だけでなく、子どもの学校行事に参加する目的でも取得できるようにしている企業もあり、育児中の労働者のニーズに応えています。
一方、育児休業は国が定めた労働者の権利です。勤め先の育児休暇の有無に関係なく、条件を満たしていれば育児休業を取得できます。
育児休業は、育児・介護休業法で定められた内容の通りに取得できる決まりです。従業員に休んでほしくないと思っていたとしても、企業は労働者の権利を守らなければなりません。
対象の違い
育児休暇と育児休業は、対象となる子どもの年齢にも違いがあります。育児休暇は育児休業と併用できるように、子どもの年齢を「小学校に上がるまで」と定めていることが大半です。
育児休業は原則として、1歳未満の子どもを対象にしています。ただし、育児休業後に働きたいのに、保育園などに預けられなかったなどの理由がある場合は、最大で2歳まで期間の延長が可能です。
延長の申請には、入園できなかったことを証明できる書類の提出が必要になります。
給料・給付金の違い
育児休暇中に、給料が出る企業もあればそうでない企業もあります。給料が出る場合であっても、満額ではなく何割かをもらえるといった決まりがあることが一般的です。
育児休暇は企業の努力義務のため、法律で育児休暇中の給料の扱いが決まっているわけではありません。
育児休業中は、条件を満たしていれば「育児休業給付金」を受け取れます。雇用保険の被保険者であり、育児休業を開始する日を起点とした過去2年間のうち、11日以上の就業日がある月が12カ月以上必要などが条件です。
ただし、病気や第1子の育児休業などを取得していて働けなかった期間がある場合は、就業日数が足りなくても、例外として認められる場合があります。
参考:育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて|厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク)
各種税金の扱い
産前・産後休業期間と育児休業中に被保険者が労働しなかった期間は、健康保険や厚生年金などの社会保険料を払わなくてよい決まりです。育児休業中の家庭を経済的に支援する目的で、免除されています。
被保険者だけでなく事業主の負担分も免除されますが、住民税は育児休業中に関係なく納めなければなりません。
育児休暇の場合は、企業が独自に設けている都合上、社会保険料は免除にならないので注意しましょう。