政府が2025年末に明らかにした高額医療費制度の見直し案。この見直し案が実施された場合、がんや難病、あるいは怪我に見舞われた人たちの経済生活に生じる影響は甚大なものになる。
週末に衆院選を控えた今、各政党のマニフェスト等を読み込み、高額療養費制度、そしてその見直しに対するスタンスを調査。高額医療費制度の見直し、及び高額療養費制度について、政党要件を満たす各党は今回の衆議院選挙に際してどんな意見を持ち、何を主張しようとしているのか。自身も高額医療費制度を利用して生活している西村章氏の所感とともに、結果を発表する。
自民党
全46ページの「政権公約2026」には、「国民皆保険を堅持しつつ2040年頃を見据えた新たな地域医療構想による医療機関の連携・再編・集約化の推進、医師偏在是正などの実効的な対策により、持続可能で安心できる医療提供体制を確保」するという記述があるが高額療養費制度に関連する文言は記されていない。
筆者の印象
今回の見直し案を含む2026年度予算案は12月末に閣議決定されているので、衆議院選後の予算委員会でも自民党議員はおそらく予算案の賛成に回る(=この見直し案を是とする)と考えるのが普通だろう。ただし、候補者の中には、自身のSNSなどで「行き過ぎたOTC医薬品の保険外しや高額療養費制度の見直しも、受診控えや重症化を招き、結果的に医療費の増加や医療提供体制の不安定化をもたらす懸念があります」と表明している例もある。全候補者の発言をチェックしたわけではないのであくまでも雑駁(ざっぱく)な印象だが、このような例は自民党の衆院選候補者の中では比較的珍しいのではないか。
日本維新の会
党ウェブサイト内「維新八策2026」の社会保障政策に関する項で、以下のように記されている。「107. 医療費窓口負担及び高額療養費負担限度額の所得区分判定の公平性を向上させます。特に、金融所得を含めた総合的な所得把握に基づく負担区分の設定を検討し、応能負担の徹底を図ります」「121. 高額療養費制度は国民皆保険制度の中核であり、制度見直しにおいては患者団体をはじめとする当事者の参画の機会を確保したうえで、制度設計に反映させる仕組みの構築を目指します」
筆者の印象
「107.」は後段の「金融所得の把握」「応能負担」に力点があるように思われる。また、「応能負担の徹底」は、社会保険料の料率に関する事柄ではなく、高額療養費制度などの医療サービス給付で「応益負担」をさらに強化する方向で推進しようという主旨だろう。「121.」で述べられている、政策決定プロセスへの当事者参画推進宣言は、高額療養費制度の在り方に関する専門委員会ですでに実現されていることなので、何を主張しようとしているのかいまひとつよくわからない。

