歪んだ心理描写に心をかき乱される?
「このマンガがすごい!2015」オンナ編で1位を獲得した『ちーちゃんはちょっと足りない』(作:阿部共実)は、少女が中央に描かれたポップで明るい雰囲気の表紙が印象的な作品です。一見すると日常系に思えるようなデザインの表紙ですが、本編ではドロドロとしたリアルな思春期の心情が描かれています。
物語の中盤までは、いつも何か物足りない気がするふたりの女子中学生「南山千恵」ことちーちゃんと、友人の「小林ナツ」、そして裕福な家庭で育った「旭」による、ドタバタとした日常が描かれます。しかし、バスケットボール部の顧問へのプレゼント代が学校で盗まれたことをきっかけに、ナツの鬱屈(うっくつ)とした内面が徐々に浮かび上がっていきます。
もともとナツは、生活には困らないものの贅沢はできない家庭環境や、自身に秀でたものがないという思いから、常に「何かが足りない」と感じ、強いコンプレックスを抱えていました。中盤以降では、その劣等感に被害者意識や被害妄想が重なり、次第に思考が歪んでいきます。
ナツの内面の描写には、「中学時代に誰もが抱えがちな闇」「昔の自分を投影してしまう」といった声があがるほど生々しく、人によっては自身の過去を思い出し、直視するのが辛く感じられるかもしれません。
