・東北の深淵
中国って広い。副菜ですらそう感じる『大豊収』のディナーメニュー。だが、広さだけではなく私が深さを感じたのが次の串焼きメニューだった。その名も……
「焼き蚕のサナギ串」である。茶碗蒸し、水煮と様々な蚕を食べてきた私だけど、串焼きは初めてだ。これいっとかないとダメだろ。
しかし、注文しようとしたところ「大丈夫ですか?」と何度も確認してくる川辺さん。本場の人が何を心配するというのか。蚕って普通でしょ。大丈夫大丈夫。こちとらロケットニュース24やぞ。と思いきや……
デッケェェェエエエ! さすが大陸。今まで見た食用の蚕の中で一番デカイ。羊肉の串焼きだと1本で事足りる串を2本使って支えてる。
川辺さんが心配していたのはこのサイズ感なのだろうか? そのデカさにはちょっとビビったけど、まあ食べる分には無問題だ。そこでさっそくかぶりついてみたところ……こ、これは!
エビっぽさが強い。虫は基本エビっぽい味であることはよく言われるけど、これまで食べた蚕はエビの奥に消せない虫オーラが感じられた。多分殻の味だと思うんだけど、この蚕は身の分量が多いゆえか、エビの比率の方が強く感じられるのである。
その身の味にはミルキーさすらあった。断言できる。「今まで食べた蚕の中で1番ウマイ」と──。
・衝撃
今まで食べた蚕って何やねん。知らないうちに蚕の品質が味で分かるようになっていたことに自分でも衝撃を受けずにはいられなかったが、なぜか川辺さんも衝撃を受けていた。いまだにちょっと心配そうなのである。どしたん? 蚕って普通に食べます……よね?
川辺さん「いえいえ普通ではないです! 中国でも無理っていう人多いですよ。どちらかと言うと、味よりも栄養価が高いのが良いところですね。中国では卵何個分の栄養価とかよく表します」
──期せずして本場の人をビビらせてしまっていた。中国人的には文化的に普通の食べ物になってるんだと思っていた。そっかー、中国東北部の人からしてもゲテモノ扱いなのかこれ。文化は違えど、人の感覚ってそこまで違わないのかもしれない。
