・開演
そしていよいよ開演。ついさっきまで客席案内をしていたスタッフが、売店にいたスタッフが、何事もなかったかのようにステージに現れ、華麗な芸を披露する。
オープニングではトランポリンや吊りロープのショーがスピーディーに展開され、人間が虎に変わるイリュージョンも飛び出す。
目の前で繰り広げられる離れワザの連発に、はじめて見る人は圧倒されることだろう。
アメリカンクラウンが幕間をつなぎながら、その後も七丁椅子、フラフープ、動物のショー、日本古典芸、イリュージョン、空中大車輪と、息つく間もなく演目が続く。
ちなみに日本古典芸は “交代芸” なので、何度も通わないとすべての演目を見ることはできない。
約20分の休憩を挟み、後半はオートバイショー、ジャグリング、空中ブランコ……会場の熱気はフィナーレまで加速しっぱなし。
・お弁当
そんな中、団員たちは合間に休憩を取って弁当をかき込む。全国を回るから公演地ごとに弁当屋も変わり、たとえば那覇公演なら沖縄料理が出たりと、その土地の個性が味わえるのが密かな楽しみだった。
とはいえ、弁当を食べずに自炊する先輩もいるため、だいたい弁当は余る。もったいないので……あまり大声で言うことではないが、基本的に私は弁当を2個食べていた。なんなら夜も余っている弁当で済ますことが少なくなかった。とにかく昼は2個派。
というのも、博士キャラの先輩・保坂さんが「弁当を食べない派」だと認識していたため、1個は確実に余るだろうという緻密な計算に基づいた行動だった。
しかし1度だけ、豪華なウナギ弁当が出た日に、私はいつも通り2個平らげたのだが……後からやってきた保坂さんが「あれ、うちの弁当がない」と呟いたのである。あの時ばかりは本当に申し訳ないことをしたと今でも反省している。
