太陽系の始まりをのぞく手がかりに
彗星は、太陽系が生まれた頃の物質を今に残す存在とされています。いわば「宇宙の化石」のようなものです。ただし長い年月の中で、太陽の熱や宇宙線の影響を受け、その表面は変化しています。
だからこそ、分裂の瞬間は特別です。内部に閉じ込められていた、ほとんど手つかずの物質が露出する可能性があるからです。今回の観測は、その貴重なチャンスをつかんだものでもあります。
すでに地上観測から、この彗星は炭素が少ないという特徴を持つことが分かっており、一般的な彗星とは異なる性質を示しています。今後、ハッブルに搭載された分光装置による詳しい分析が進めば、太陽系の成り立ちに関する新たな手がかりが得られるかもしれません。
現在、この彗星は破片となって、地球から約2億5000万マイル(約4億225万km)離れた場所に散らばり、太陽系の外へと向かっています。この途方もない距離は、太陽から火星の軌道までの平均距離(約2億2790万km)よりも遠くに相当し、再び戻ってくることはないと見られています。
今回の発見は、偶然がもたらした出来事でした。しかしその一瞬が、長い時間をかけて形成された宇宙の歴史を読み解くヒントにつながる可能性があります。そんな視点で夜空を見上げると、少しだけ世界が違って見えてくるかもしれませんね。
参照
NASA「NASA’s Hubble Unexpectedly Catches Comet Breaking Up」
PHYS ORG「NASA's Hubble unexpectedly catches comet breaking up」

