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大学生で借金6,000万円。年収2,500万を捨て35歳で大工になった理由「このまま死んだら後悔すると思った」

大学生で借金6,000万円。年収2,500万を捨て35歳で大工になった理由「このまま死んだら後悔すると思った」

39歳で3度目のゼロスタート。私が農家になった理由

──大工だったところから、今は『駅前直売所八〇八』を運営されています。農業へ足を踏み入れたきっかけはなんだったのですか?

流山市で購入した中古物件の内装工事を一人で進めていたときのことです。4カ月ほど家にこもりきりで作業していたので、気分転換に近くの土手にランニングをしに行ったんですよ。そこで、使われていない畑がたくさんあることに気付きました。

「なぜこれほどの数の畑が放置されているのか」と疑問に思い、図書館で農業の本を読み漁りました。調べていくうちに、日本の食料自給率の低さや、農薬・食品添加物の問題を知り、「食料自給率が低いのに、目の前にこれだけ耕作放棄地がある。自分に何かできることはないか」と考えるようになったんです。

──そこから農業への関心が芽生えたんですね。

市の窓口に就農相談にも行きましたが、当時は農地を借りるための条件が厳しく、農家の出身でない素人が参入するにはハードルが非常に高かったんです。具体的な道筋も示してもらえなかったので、直売所マップを片手に農家を一軒ずつまわって教えを請いました。そうして出会った無農薬栽培の農家さんのもとで、1年間修行させてもらえることになったんです。

大学生で借金6,000万円。年収2,500万を捨て35歳で大工になった理由「このまま死んだら後悔すると思った」
30代後半の中越さん。農業の基礎を一から学んだ。

その後独立し、営業の経験を活かして自分で販路を開拓していきました。一般的に農家は農業協同組合(JA)に出荷することが多いのですが、それだと価格を自分では決められない。だから、マンションで野菜を直接販売したり、飲食店に卸したり、年会費制でお客さんに届ける仕組みを確立したり。当時はまだ珍しかった取り組みをどんどん試していきました。

そうした矢先に、2011年東日本大震災が起きたんです。

当時は社会全体が不安に包まれて、さまざまな情報が飛び交う状況でした。私も、報道や公的発表を注視しながら、農業に携わる一人として食の安全性にどう向き合うべきか、自問自答する日々が続いたんです。悩み抜いた末、最終的に背中を押したのは家族の存在でした。娘の出産が間近に迫っていたこともあり、子どもの将来を第一に考え、心機一転、藤沢市へ拠点を移す決断に至りました。

──それまで積み上げてきたものを手放さざるを得なかったと。

そうですね。知り合いが一人もいない土地に来て、またゼロからのスタートでした。そこで新たに、誰も手を付けず荒廃していた耕作放棄地を見つけたんです。当時は不法投棄もされているような場所でしたが、自分たちでゴミを片付け開拓するところから始めました。

そうして農地を再生させながら、前々からやってみたいと思っていた「八百屋カフェ」を、今よりも小さな店舗で開業しました。少しずつ事業が成長し、今に至ります。

──ゼロからのスタートを何度も乗り越えてこられたんですね。今後、挑戦したいことはありますか?

次は「江ノ島の塩」を作りたいんです。藤沢市は豊かな海に面しているのに、地元産の塩がない。それなら自分で作ろうと。塩ができれば、うちの湘南レモンと組み合わせて塩レモンもできるし、お土産にもなる。誰もやっていないなら、自分がやりたい。そうやって「あったらいいな」を形にしていくのが、今は楽しいんです。

大学生で借金6,000万円。年収2,500万を捨て35歳で大工になった理由「このまま死んだら後悔すると思った」

今「はたらく」が楽しいのは、自分に迷いも嘘もないから

──借金、過酷な労働環境、震災と、キャリアの中で何度も困難な状況に直面されてきましたが、中越さんがそのたびに乗り越えてこられたのはなぜだと思いますか?

最後まで逃げずに向き合い続けたからだと思います。6,000万円の借金を抱えたときも、返済するまで逃げなかった。不動産会社を辞めるときも、担当していた案件をすべてやり遂げ、心残りがない状態で辞めさせてもらいました。

一度逃げると逃げ癖がつくと思うんです。次のステップに行くにしても、逃げるのではなく、目の前のことをやりきってから進む。その積み重ねが、結果的に自分を支えてくれているのかもしれません。

──今、中越さんが仕事をしていて充実感を感じるのはどんなときでしょうか?

今は、自分がやっていることに迷いがないんです。放置され、不法投棄によって環境汚染につながりかねなかった農地を再生し、農薬を使わずに環境に優しく、腸活にも良い健康野菜を作っている。それをお客さんが食べて健康になり、そのお金で自分たちの生活も成り立つ。私はこれを「健康の循環」と呼んでいます。

会社員時代は数字を優先するあまり短期的な成果を追い求めてしまう場面もありましたが、今はみんなが健康で笑顔になり、喜んでくれる循環の中にいる。自分がやっていることに疑問がないから、充実しているんだと思います。

──最後に、スタジオパーソルの読者である「はたらく」モヤモヤを抱える若者へ、「はたらく」をもっと自分らしく、楽しくするために、何かアドバイスをいただけますか?

私自身、借金返済のために始めた不動産営業は、正直やりたい仕事ではありませんでした。でも、「次へのステップのための修行だ」と捉えてとことんやり続けた。すると、そこで出会った人が次の道を開いてくれたり、思わぬところから声がかかったりしたんです。

だから、もし今の仕事にモヤモヤしているなら、まずは目の前のことに全力で向き合ってみてほしいです。とことんやった上で「やっぱり違う」と思うなら、そのときは思い切って次に進めばいい。大事なのは、逃げるように辞めるのではなく、やりきった上で自分で決断すること。そうすれば、たとえ結果がどうなっても後悔は少ないと思います。

私自身、不動産も大工も農業も、それぞれの場所でやりきったからこそ、次の扉が開きました。だから、皆さんも焦らなくていい。今いる場所で全力を尽くしていれば、必ず道は見えてきますから。

大学生で借金6,000万円。年収2,500万を捨て35歳で大工になった理由「このまま死んだら後悔すると思った」

(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり 写真提供:中越節生さん)

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