記憶力は身体の筋肉と同じように、使わなければ衰えるいっぽうだといわれている。しかし、学生のころのような試験もない社会人はどう鍛えればいいのか。脳科学者のリチャード・レスタック氏は、今日からでもできる具体的な記憶力トレーニングを紹介する。
レスタック氏の著書『いくつになっても頭はよくなる』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
短期記憶を強化するには?
簡単な練習でさまざまな記憶力を試してみましょう。まずは、短期記憶の強化です。ランダムに選んだ数字を紙に書いてください。
5桁の数字から始めます。深く考えずに、思いついた数字をさっと書いてください。さあ、それでは数字を見ずに、1秒に1文字ずつ口に出すか心の中で繰り返してください。
間違えずに言えたら、数字を1桁ずつ増やして同様に繰り返します。9桁までできたら、さらに限界まで増やしていきます。もう言えなくなったら5桁に戻って、今度は逆から暗唱してください。何度か練習するうちに、少なくとも9桁は覚えられるはずです。
途中で怪しくなるようなら、レコーダーを使って練習しましょう。暗唱してから録音を聞き、途中で数字を入れ違えるなどのミスがないかチェックします。
次は、数字ではなく言葉を使って練習しましょう。言葉を正しく言った後に、逆から言ってみます。最初に正しく言うのを飛ばしてもかまいません。
「こころ→(ろここ)」のような簡単な言葉から始めて、「かんせい」「オノマトペ」「はつかねずみ」「クリスマスイブ」「おんがくだいがく」「こうざんしょくぶつ」「コンビニエンスストア」「にとうへんさんかくけい」というふうに続けていきます。
その言葉を心の中にしっかり思い浮かべて、逆から正確に暗唱できるまで繰り返しましょう。
新しいことを学ぶ力を伸ばす練習
これらの言葉を暗唱できたら、日々の読み物の中から言葉を選んで新しいリストをつくってください。暗唱できた言葉はリストから消し、他の言葉に置き換えていきます。
中には、逆から暗唱するのが難しい言葉もあるでしょう。どんなにがんばっても、できないかもしれません。ですが、がっかりしないでください。目的は人と競いあうことではなく、自分の短期記憶の強化です。読書中に興味深い言葉に出合ったら、逆から暗唱してみてください。もしうまくできなければ、その言葉を練習用リストに加えてつねにアップデートしましょう。
次の練習は、新しいことを学ぶ力を伸ばすためのものです。まず、無関係な言葉を4つ選んで書きます。たとえば、「赤」「忠誠」「水仙」「眼鏡」などがいいでしょう。これらの言葉を15秒間じっと見てから、脇にどけます。タイマーのアラームを5分にセットして(わたしは動きやすいように腕時計のタイマーを使っています)、他の作業を続けます。その作業がどんなものであれ、完全に集中してください。
いちばん大事なのは、先の言葉をけっして復唱しないことです。アラームが鳴ったら、どんな順番でもいいので4つの言葉を思い出してください。
それから、言葉を変えます。たとえば、「笛」「図書館」「針」「勇気」にしてみましょう。タイマーを30分にセットして他の作業を続けます。アラームが鳴ったら思い出してみてください。うまくできたら、言葉の数と時間を増やしていきます。10個の言葉を数時間後に思い出せるようになるまで続けてください。
この練習では、言葉を関連づけようとしないことが大切です。たとえば、「針」で指を刺した後に「図書館」で「笛」を吹くのは「勇気」がいる、というような文をつくらず、単純に覚えてください。

