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「サナエノミクス2.0」は成功するのか GDP4倍差…中国に完敗した「決定的な理由」と“国家総力戦”の正体

「サナエノミクス2.0」は成功するのか GDP4倍差…中国に完敗した「決定的な理由」と“国家総力戦”の正体

アメリカの「経済安全保障」という名の介入

89年の冷戦終結後はアメリカ「一極支配」の時代でした。冷戦に勝利したアメリカは、ソ連という対抗馬を失い、軍事・外交において世界を意のままに動かせる唯一の超大国として君臨していました。

経済面でも、IT革命によりアメリカの標準を世界中に浸透させていきました。この本質は、世界中の「デジタル空間」を私有地化し、通行料を徴収するシステムを完成させたことにあります。

95年、MicrosoftによるWindows 95 でインターネットへの扉を開き、00年代以降はGoogle、Apple、Facebook、Amazonといった巨大プラットフォーマー(GAFAM)が、検索・流通・スマホという「現代の生活インフラ」を独占しました。

これにより世界中の富とデータがシリコンバレーに一極集中する「勝者総取り(ウィナー・テイクス・オール)」の経済圏を確立したのです。

さらに現在は、その集積した莫大なデータを燃料に「生成AI」という新たな知能の革命を主導し、産業構造どころか人間の知的活動そのものを再定義しようとしています。

アメリカはIT革命を主導していますが、その源流には国防総省(DARPA)による国家投資があったことを忘れてはなりません。彼らは年間数千億円規模の予算を投じ、民間企業が二の足を踏む「20年先の軍事技術」に投資し続けました。

シリコンバレーは、この国防予算を受け皿とするスタンフォード大学を中心に発展しました。ここで育まれた軍事用ネットワークが「インターネット」へ、ミサイル誘導技術が「GPS」へと民間転用され、Google マップやUber といった巨大ビジネスが生まれました。

Googleの検索エンジン開発やiPhoneのSiri(音声認識)も、元をたどればこの国家投資が源流であり、GAFAMの覇権は実質的にアメリカの税金によって下支えされていたのです。

アメリカと中国の生存をかけた衝突

そして決定的な転機となったのが、中国との覇権争いです。この覇権争いの本質は、単なる貿易の問題ではなく、「21世紀の『技術』と『軍事』の支配権」を巡る、アメリカと中国の生存をかけた構造的な衝突です。

アメリカは長年「中国が豊かになれば、いずれ民主化して西側の一員になる」と期待していましたが、習近平体制による「国家資本主義」と「軍事拡張」を見て、その期待が幻想だったと悟りました。

特に、AI、半導体、5Gといった「産業の心臓部」を中国に握られることは、アメリカの経済的優位だけでなく安全保障(軍事力)の喪失を意味します。

そのため、アメリカはなりふり構わず中国をサプライチェーンから切り離す(デカップリング)戦略に出ており、世界を二分する「新しい冷戦」の様相を呈ていしているのです。

第1期トランプ政権(17年―21年)の「貿易戦争」、続くバイデン政権(21年―25年)の「デカップリング政策」は、なりふり構わぬ産業保護政策でした。

特に22年の「CHIPS法」による半導体産業への巨額補助金は、アメリカが「市場原理主義」を捨て、「経済安全保障」の名の下に産業政策へ回帰したことを世界に宣言するものでした。

そして、第2期トランプ政権(25年―)は、この流れをさらに加速させています。バイデン政権が進めた「特定の戦略産業への補助金(CHIPS法など)」すら生ぬるいとし、全ての輸入品に対する「一律関税の導入」などを主張。

これは、もはや「経済安全保障」の枠を超え、アメリカが自由貿易体制そのものに背を向け、なりふり構わず自国市場を囲い込む「究極の保護主義」へと突き進む姿勢を鮮明にしたものと言えます。

日本、中国、アメリカ、三者の30年を俯瞰したとき、歴史の教訓は明白です。戦略なき市場任せの日本は敗れ、国家が戦略的に関与した国が覇権を握りました。

半導体シェアが50%から10%以下へ凋落した日本の姿は、その象徴です。対してアメリカは、製造こそ手放しましたが、設計・開発分野で世界シェアの約50%を握り、実質的な支配権を維持しています。そして中国は国家ファンドによる巨額投資で、わずか数年で生産能力における世界シェアを20%台まで急拡大させ、日本を抜き去りました。

そして26年、日本経済は歴史的な局面を迎えます。

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