2026年度はパラ射撃の選手たちにとって重要な1年だ。2年後のロサンゼルス2028パラリンピックに向けた出場権獲得レースが幕を開けるからだ。なかでも10月に日本で開催される愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会は、選手たちが最も注力する大会のひとつになっている。同大会は、ロサンゼルスの出場権を争う重要な大会になる見込みで、選手たちの士気はこれまでになく高まっている。
このアジアパラ競技大会日本代表の選考対象大会である春季パラ射撃競技会が、スポーツ・パル高根の郷(静岡県藤枝市)で開催された。選手たちはそれぞれの目標スコアを見据え、一射ごとに精度の高さを追求しながら、静かな戦いを繰り広げた。
今年を占う春季大会。緊張感が漂う中で行われたパラ射撃期待の代表候補も
混合10mエアライフル立射(SH2)は、総合国際大会初の日本代表を狙う金尾克が優勝した。
2022年に競技をはじめ、今年4年目になる。今大会は630点を目標にしていたといい、622.2というスコアに少しうなだれて、「最初のほうから的を外してしまい、『やばいな』と思っていました」と反省の弁。
平常心を取り戻して、なんとか踏みとどまったものの、「もうちょっといいところと思って(制限時間ギリギリまで)粘っちゃうのがダメ」と反省を口にした。
交通事故で右腕を失った金尾は、46歳でパラ射撃のキャリアをスタートさせたライフルのグリップを握る指には、ネイリストの長女にリクエストしたパラリンピックのマークと金メダルをイメージしたネイルを施した。
ファイナルの盛り上がりをライブ配信で見たというパリパラリンピック。鳥肌が立ち、「俺もここでやりたい」と思いを強くした。2年後の大舞台を見据え、金尾は国際大会で経験を積み重ねていくつもりだ。
アテネパラリンピック以来、22年ぶりに立射に挑戦した瀬賀亜希子は「もうちょっとチャレンジしたい」と意欲的に語った有力選手たちの現在地
岡田は義手を着けて競技を行う「アジアパラでは金メダルを獲りたい」
そう語るのは、混合10mエアライフル伏射、混合50mライフル伏射(ともにSH1)2冠の岡田和也。居住する三重県に加え、愛知県でも活動しており、地元開催のアジアパラにかける思いは人一倍強い。
パリ2024パラリンピックに出場した岡田はパリ大会後、アスレティックトレーナーの佐久間雅久氏との出会いを機に、呼吸トレーニングを取り入れた。この取り組みによってパフォーマンスが飛躍的に向上。結果にも結びついているという。
具体的には、試合中、眼精疲労の抑制を兼ねて、遠くを見たり、目を閉じたりする“休憩”を増やしたこと。その際、息を鼻から吸って口からゆっくりと吐くことで副交感神経を優位に導き、後半の集中力を持続させている。
ジャケットの硬さのレギュレーションが変更になり、対応が問われた今大会。岡田は9㎏減量して臨んだ岡田は、単に「次を頑張ろう」ではなく、自分が思ったイメージではないものを切り捨ててリセットする方法を確立。自身も効果を実感しているようだ。
大会2日目には佐久間氏も訪れ、さらなる改善に向けた分析を行っていた。
東京2020パラリンピック日本代表の渡邊裕介
