「一緒にいて楽」でも、深くは知られない
もう1つのデメリットは、関係の深さに関わるものです。
「一緒にいて楽」という評価は魅力的ですが、それだけで深い関係が育つわけではありません。
心理学的には、親密さは単に穏やかであることだけで生まれるのではなく、相手の内面に繰り返し触れられることで深まっていきます。
何に傷つくのか、何を大事にしているのか、何に腹が立つのか、何を本当は望んでいるのか。
そうした内側の情報が見えるからこそ、人は相手を「よく知っている」と感じます。
ところが、「楽な人」は、自分の内面をあまり表に出しません。
ネガティブな感情を見せず、強い希望もあまり押し出さず、相手に合わせることで関係を滑らかに保とうとします。
すると相手は、その人に合わせて調整する機会をあまり持てなくなります。
結果として、表面上はうまくいっていても、互いの内側が十分に共有されず、親密さは浅いままです。
ここまでで、「楽な人」でいることの3つのデメリットを考えてきました。
結局のところ、大切なのは「楽であること」そのものではありません。
相手に合わせる力を持ちながらも、自分の感情や希望を必要な場面できちんと見せられることです。
楽なパートナーでいることは長所ですが、それだけに頼りすぎると、自分自身も、関係そのものも、少しずつ薄くなってしまうのかもしれません。
参考文献
3 Downsides of Being the “Easy” Partner
https://www.psychologytoday.com/us/blog/social-instincts/202604/3-downsides-of-being-the-easy-partner
元論文
Self-concept Clarity and Subjective Well-Being: Disentangling Within- and Between-Person Associations
https://doi.org/10.1007/s10902-023-00646-2
The social costs of emotional suppression: A prospective study of the transition to college.
https://psycnet.apa.org/doi/10.1037/a0014755
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部

