・空が主役
よく見ると、さらに向こうに富士山が確認できる。しかし私は、富士山よりもこの大空に完全に目を奪われていた。
なにせ本当に空しかないのだ。あまりにも他に情報がなさすぎて、なんだか自分の身体がそのまま空へ吸い込まれてしまいそうになる。
こちらは別にインフィニティ風呂を謳っているわけではない。しかし、風呂から空への境目が限りなく曖昧という意味では、“ほぼインフィニティ” と言っても過言ではないだろう。ちょっと怖いくらいの解放感だ。
露天風呂の隣には横になれるサウナチェアが置いてあり、ここで多摩川の風を浴びながら外気浴をしていると、いよいよ自分が空と一体化したかのような気分になってくる。
自分でもハッキリ分かる。ととのうどころか、完全に仕上がっていると。
もしかしたら景色が単調で退屈だと感じる人もいるかもしれないが、郊外とはいえ、都内でこんなに空がスコーンと抜けている温泉施設は珍しいんじゃないか。最高の一言だった。
・本番はこれから
さて、風呂から上がったら館内着に着替えて食事処「季膳房」へ。
実は私、1980円で入館料と食事がセットになった『得々プラン』(平日限定)で入場していたのだ。
食事はハンバーグ定食やカツ丼など6品の中から選べるという。どれもウマそうだが、当然ここはアルコール付きの『湯上りセット』をチョイス。
そう、私が自転車で来なかったのは、すべてこの一杯のためである。
では、いざ……!
完璧だ。
そこへタイミング良く食事も運ばれて来た。枝豆、キュウリの漬物、そしてから揚げの三点盛り。サウナ後のツマミとしてこれ以上ない布陣である。
当然グラスビール程度の少量ではまったく話にならないため、中瓶を追加。空っぽの身体に染み渡るビールは、もはや水よりも水に近い液体と言っていい。
