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「もう死ぬんやで!」緩和ケア医が実の親に放った禁断の言葉…理想通りにはいかない「家族の看取り」に娘として選んだ場所

「もう死ぬんやで!」緩和ケア医が実の親に放った禁断の言葉…理想通りにはいかない「家族の看取り」に娘として選んだ場所

本人の前で言ってしまった「死ぬんやで?」

脳にがんが転移してめまいとふらつきを訴えている母に、「俺のために運転しろ!」とわめきたてる父。そんな父への強い怒りと、このあとに起こるだろう激流のような早さで進む日々への恐れ、そして、事態をわかっていない父や姉妹たち家族にことの推移を説明しなくてはいけないことへの負担感。

このとき、自分自身が感じている悲しみもあいまって、私は半泣きになって怒鳴ってしまいました。

「あんたら、何もわかってない! このあと、どれだけ事態が早く進むか、わかってない! 残された時間は本当に少ないんだってこと、わかってない!!

もう、この人(母のこと)、死ぬんやで? もう、何週間かで死ぬんやで!? もう死ぬ人に向かって運転しろとか言わんといて。そんなん、もう無理やから。もうね、この人、死ぬの。すぐに死ぬの。びっくりするくらい早いんやから!!!!」

「死ぬ死ぬ」と何度も泣き怒りしながら口にしてしまったのです。

まあ、本人の前でこんなこと言うのは、本当はだめなんです。

本人の前で、「死ぬ死ぬ」と言うのは、やってはいけないことなんです。

緩和ケア医として、私も「正解」を答えるなら、「『死ぬ』という言葉をご本人の前で言ってはいけません」と言うと思います。

でも、まあ、世の中に正解はないのも事実です。

あの両親には、「ちゃんとはっきり話さないと理解しない」「あの人たちのキャラクターを考えると、はっきり言わないとだめだ」という思いもあっての行動でした。

これくらい言ったところで落ち込む母でもありません。

そしてその予想どおり、実際にあとから姉に聞いた話ですが、母はまったく落ち込んでなくて「アタシ、死なないわよ」と言っていたそうです。

「大丈夫。もっと言ってもよかった」が、今でも思う本音です。

怒涛の日々を見越して介護保険を急ぐ

怒鳴りはしたものの、その後の怒涛の展開を考えると話し合わなければいけないことはたくさんあると思い返し、私は冷静さを取り戻します。

両親とこの先の生活について話し合いました。

末期がんの場合、40歳以上であれば、要介護・要支援状態になった場合には介護険でサービスを受けることができます。

すぐに介護ベッドや介護ヘルパーさんを手配しないといけない状況なのに、介護保険の申請もまだ途中という状態でした。

すぐさま母の担当のケアマネジャーさんに電話で病状を説明し、「非常に早い展開になると予想されるので、とりあえず申請を早く進めてほしい」とお願いしました。

この依頼した日は7月29日。しかしケアマネジャーさんからは、「動けるのは8月1日になる」という返事でした。

正直言って私の感覚では「遅い、遅すぎる。なんで3日もかかるねん……」というものでしたが、ケアマネジャーさんの言葉に反論せず、提案どおりでお願いしました。

当たり前ですが、地域や事業所、担当者によっていろんなやり方があります。自分の流儀を通してもろくなことにならない、無理にお願いしても軋轢を生むだけとも経験上よくわかっているので、何も言いませんでした。

人生の最終末期を何度も見ている私にとってはこの時期、すべてが激流のように進んでいくケースが多いということは、はっきりと予測していました。

私なら「3日は待たないし、待てない」、そう判断する状況です。

ただ、専門職ですら末期がんの最終末期の流れを理解してない人も少なからずいます。

そのため、家族にとっては「突然のお別れ」になってしまうこともしばしばであることをお伝えしておきたいと思います。

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