出産を機に芽生えた“バンド=仕事”という意識
2024年に出産を経験されましたが、ご自身の環境が変わったことで、音楽やステージへの向き合い方に変化はありましたか?
若いころは、深く狭く活動したい気持ちが強くて「売れなくてもバンドができたらそれでいい」みたいな感じやったんです。でも子どもができてからは、いい意味でバンドが“仕事”になりました。「これで家族を支えていくんだ」という思いが強くなり、「『バンドで子ども食わせてます』って、めっちゃかっこよくない?」っていうモードになりました。これからもずっとそう言い続けていけるような活動をしていきたいと考えています。
メンバー全員が同時期に出産されたことも大きな節目になったかと思います。バンドとして、今の空気感はいかがですか?
復帰してからは「とにかく1年、ライブをしよう!」というので、2025年はめちゃくちゃライブをした1年でした。月に10本くらいやってたから、月の半分以上は出先で。ホテルで朝、目覚めたら「あれ? 子どもがおらん! あ、違うわ、ここ京都や」みたいな感じで(笑)。 うちらもちょっとがんばりすぎて、「さすがにやりすぎたかな?」と。2026年は楽曲制作と家族の時間を大事にしたいです。
今年は「楽曲制作」のフェーズにも重きを置かれるのですね。
ずっと音楽で食べていきたいからこそ、今のままじゃ足りない部分もあると思っていて、3人ともが「楽器や作曲のことをもっと学んで、技術的なスキルアップもしたいね」というモードに入ってます。
結成17周年を迎えてもなお、さらなる高みを目指されていると。
逆に、今までが感覚的にやりすぎていたところもあるんです。今も先生にギターを教えてもらってるんですけど、感覚的に弾いてた技が「これ、ちゃんと名前が付いた技術やったんや」と知ることもあります(笑)。だから一つひとつの技術や知識を磨いているところです。
プライベートでのインプットも大切にされていますか?
濃くしていきたいですね。この仕事をしていてよかったと思うのは、自分がいろんなことを感じれば感じるだけ、いろんな景色を見れば見るだけ作品になるところ。だから、家族とも友だちとも惜しみなく過ごして、「全部インプットや」と思って楽しんでます。
東大阪の焼き鳥屋「あいだ」は“実家みたいな場所”
大阪での思い出深い場所を教えてください。
地元の東大阪・瓢箪山にある焼き鳥屋「あいだ」で、高1から大学卒業までの7年間バイトしてました。おいしいですし、楽しいのでおすすめしたいですね。
どんな雰囲気のお店なのですか?
L字カウンターがあって、私はそのカウンターの中で料理をつくったりお客さんとおしゃべりしたりしていました。土地柄もあると思うんですけど、みなさん活気があって、フレンドリーなおじさんが多くて楽しかったですね。20歳を過ぎてからは私も一緒にお酒を飲みながらおしゃべりを楽しんだりして、けっこう「あいだ」で鍛えられました(笑)。
7年間続けられたということは、相当居心地がよかったのですね。
もう実家みたいな存在で、今も大阪に帰ると行きます。
最後に、「anna」の由来である「あんなぁ」という言葉にちなんで、最近思わず誰かに話したくなったエピソードはありますか?
息子がいま2歳くらいなんですけど、最近“聞き返しブーム”で、何でも「ん? ん?」って聞き返してくるんです。自宅で録音しているとき、『拝啓、少年よ』を歌っていたら「夢はもう見ないのかい? ん? 見ないのかい? ん?」って(笑)。
それは微笑ましいですね(笑)。
あと、“イヤイヤ期”も始まって、「着替えよう?」と言っても「イヤ!」、「お風呂入ろう?」「イヤ!」。もう一言目が「イヤ!」なんですけど、こないだ一緒に車に乗ってたら、「次の100メートル先、左折です」というナビにも「イヤ!」って言ってました。
ナビにまで(笑) !
守備範囲が広いですね(笑)。
インタビュー中はお子さんとのほのぼのエピソードをたくさん披露してくださった林さん。お子さんの成長を楽しみながら活動する姿が非常に印象的でした。母として、表現者として、さらに深みを増していくHump Backの今後がますます楽しみです!
Hump Back
2009年に高校の軽音楽部にて結成された、林萌々子(Vo./Gt.)、ぴか(Ba./Cho.)、美咲(Dr./Cho.)からなる大阪出身の3ピースロックバンド。今年、結成17周年を記念して2026年5月16日(土)には大阪城ホールで単独公演「打上誕生日」を開催。
写真/anna 取材・文/中野純子

