2026年4月29日、有明アリーナで開催される「ONE SAMURAI 1」。メインイベントで宿敵ロッタン・ジットムアンノンと拳を交える武尊(34)の引退試合が、フジテレビ系列で地上波放送されることが決定した。
かつて那須川天心戦で直前に地上波中継が消滅した「悲劇」を乗り越え、武尊が最後にこだわった「格闘技を全国へ届ける」という約束。世界最強の破壊神に挑む武尊、そして世界王座を懸けて出陣する若松佑弥、吉成名高、与座優貴ら日本人ファイターたちの熱き魂を徹底解説する。
悲願の地上波。武尊が感謝の告白「格闘技界に繋げる」
「ずっと目標にしてきた試合の地上波全国放送が決定しました」
放送決定を受け、武尊は自身のSNSで深い感謝を綴った。2022年の「THE MATCH」では、直前で地上波放送が消滅するという、格闘家としてこれ以上ない悔しさを味わった。それだけに、今回の引退試合がPPV(追加料金)ではなく、誰でも見られる地上波という舞台で放送されることの意義は大きい。
「今はネットの時代だけど、子供から年配の方まで気軽に見られるテレビだからこそ届けられる力がある」と語る武尊。現役最後の試合を最高の形で勝ち、格闘技界の未来へバトンを繋ぐ。
その決意は、もはや一選手としての枠を超え、競技全体の未来を見据えた聖域の域に達している。
武尊 vs ロッタン。80秒の屈辱を晴らす「最後のリベンジ」
暫定フライ級キックボクシング世界王座を懸けた「武尊 vs ロッタン・ジットムアンノン」。この一戦は、武尊にとって格闘技人生を懸けた「人生最大のリベンジマッチ」となる。
両者は2025年3月の『ONE 172』で初対戦。日本中が期待に沸いたさいたまスーパーアリーナだったが、結末はあまりに無慈悲だった。開始直後、ロープ際に詰められた武尊に対し、ロッタンの強烈な左フックが炸裂。崩れ落ちた武尊は立ち上がろうとするも、わずか80秒での衝撃的なKO負け。
武尊本人が「格闘技人生で一番と言っていいほど屈辱的だった」と振り返るほど、完膚なきまでに叩きのめされた過去がある。あの日以来、武尊の頭からロッタンの姿が消えることはなかった。
再起を誓った武尊は、過酷なトレーニングで「過去イチ」と称される鋼のマッスルボディを構築。引退会見では「格闘技人生でやり残したことは、ロッタンへのリベンジだけ。必ず屈辱を晴らして、ベルトを獲って現役を締めたい」と断言した。
自分のため、そして信じてくれたファンのため、これまでの全てのキャリアをこの一戦に注ぎ込む。
対するロッタンも、迎え撃つ覚悟は冷徹だ。「私が勝てば武尊は負け試合でキャリアを終えることになる。自分を選んだことを後悔させるかもしれない」と、レジェンドの幕引きを泥沼に変えかねない残酷な言葉を口にしながらも、勝利への一切の妥協を捨てている。
暫定王座とはいえ、そのベルトの重みは二人が積み上げてきた意地の結晶だ。宿命に導かれた二人の最終章。武尊は「80秒の悪夢」を乗り越え、最後に歓喜の雄叫びを上げられるか。
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