長門、酒匂、葛城、鹿島…… 艦船の候補は?
その上で、戦艦「長門」と軽巡洋艦「酒匂」は、“登場してほしい艦”ではあっても、“登場できる艦”ではない。この2隻は史実で1946年7月のクロスロード作戦で標的艦となって沈んでいる。しかも『ゴジラ-1.0』では、その核実験がゴジラの再変異に関わる出来事として扱われている。この2隻を『ゴジラ-0.0』に再登場させるには、重巡洋艦「高雄」のような「戦後処分ルートの変更」では足りず、クロスロード作戦そのものを別の歴史に改める必要がある。前作の改変幅を考えても、ここはさすがに無理があるだろう。
その条件で見ると、航空母艦「葛城」と練習巡洋艦「鹿島」が候補に挙がる。「葛城」は終戦時に残存した大型艦で、戦後は実際に復員輸送で外洋航海もこなしているなど、「動ける」「大きい」「戦後日本が実際に運用した」という3条件を満たしている。航空母艦ゆえに艦内容積も十分あるため、「大出力発電を必要とする対ゴジラ兵器」を搭載できる可能性も高い。「鹿島」も戦後に復員輸送で外洋航海を実施しており、かつ、幹部候補生を載せて長距離航海を実施するために必要とされた広大な船内容積を備えていた。
なお、重巡洋艦「妙高」は終戦時に残存したが、戦争中の損傷で艦尾を失っており、実戦復帰には高雄以上の無理がある。妙高を戦闘可能状態まで戻すのは、その範囲をかなり超えることになるだろう。
航空機で二式大艇の他に考えられるのは、陸上哨戒機「東海」だ。東海は日本海軍初の本格的な専用対潜哨戒機で、生産数153機、終戦時残存68機と、思いのほか残っている。対ゴジラ作戦における東海の強みは派手な攻撃力ではなく、対潜哨戒で求められた「低速で長時間飛び、海面や海中の異変を探ることに特化している」点だ。もし『ゴジラ-0.0』の世界で、海中のゴジラを追うのに対潜戦のノウハウが有効と設定されているなら、東海を“ゴジラ探知機”として作戦に投入するのは十分あり得る。
なお、東海が登場するならば、磁気探知機「三式一号探知機」も重要な役割を担うだろう。米海軍の戦後報告でも、日本側は1943年末までに航空用MADの開発に成功し、1944年3月から対潜哨戒に実用投入したと記録されている。報告では、探知距離は平均条件で約120メートル、理想条件では約250メートルとされ、装置自体の信頼性も一定水準に達していた一方、航空機数と装備数の不足から構想されたほど広くは使えなかったという。
仮に『ゴジラ-0.0』で海中のゴジラ探知を作戦上の要点として描くなら、この装備を持つ東海の登場には十分な説得力がある。歴代のゴジラでは、その身体構造に特殊な物質や金属的性質を思わせる描写と設定がしばしば付随してきたことを踏まえると、対潜戦闘における磁気異常の検知という発想そのものは、対ゴジラ作戦の戦法としてもさほど不自然ではない。
もちろん、ゴジラに対して三式一号探知機が実際に有効だとする公式設定が確認されているわけではない。だが、「海中の巨体を磁探で追う」という設定は、旧海軍の「間に合わなかった新兵器」を登場させる設定として、実に興味深いといえるのではないだろうか。

