大型連休、行楽地の人混みに向かう気力もなく、さりとて何もせず過ごすには退屈すぎる。そんな時、自宅のソファで冷えたビールを片手に「極上の屁理屈」を肴にするのはいかがだろうか。
いま、働き盛りの40〜60代の間で、一度聴いたら抜け出せない「底なし沼」のような中毒性で熱烈な支持を集めているのが、TBSラジオの長寿番組『東京ポッド許可局』だ。
パーソナリティを務めるのは、俳優・ミュージシャンとしても異才を放つマキタスポーツ、新聞14紙を読み比べる「時事芸人」プチ鹿島、そして日本語学の博士課程まで修めた「学者芸人」サンキュータツオの3人。
この一筋縄ではいかない「文系芸人」たちが、お笑いからプロレス、政治経済、果ては「コンビニの新作お菓子」まで、あらゆる事象を独自の視点で斬りまくる。彼らにかかれば、日常のありふれた光景が、深遠な「論」へと昇華されるのだ。
「10分どん兵衛」が証明した、屁理屈という名の破壊力
番組の核となるのは、冒頭から挨拶もなしに始まる「〇〇論」というフリートークだ。かつて深夜放送に耳を傾けた世代なら、彼らの丁々発止のやり取りに、あの頃の「部室の空気感」を思い出すに違いない。
その影響力を物語る象徴的な事件が、マキタスポーツが提唱した「10分どん兵衛」だろう。メーカー推奨の5分をあえて無視し、「10分待つことで麺がツルツルになり、スープを吸って究極に旨くなる」という独自の屁理屈をぶち上げた。
これがネット上で爆発的に拡散され、最終的には製造元の日清食品を動かして公式スポンサーにまで発展させてしまった。
「正しいか正しくないか」ではなく、「面白いか面白くないか」で世論を動かす。この「屁理屈のエンターテインメント化」こそが、多くのリスナーを熱狂させる由縁である。
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「パン政倫審」勃発? クロワッサンに宿る人生の哀愁
最近の放送でも、その「論」の切れ味は冴えわたっている。例えば「これはパンですか?論」という、一見すればどうでもいいテーマ。しかし、マキタが「世の中がこんなにパン好きだらけだとは思わなかった。いつ食べればいいのかわからない」とパンへの温度の低さを告白すると、場は一変する。
「お腹いっぱいになりすぎないから好き」と語るタツオが、山形駅で夜食用の総菜パンを買い込むエピソードを披露すれば、鹿島は「パン政倫審(パン倫審)」を招集。さらに、バイキングで焼き上がったばかりのクロワッサンの皮が剥がれ落ちている様を、鹿島は「夏休みの小学生の日焼けのあと」と表現した。
この、無駄に解像度の高い比喩こそが彼らの真骨頂だ。パンを単なる食べ物としてではなく、人間のライフスタイルや価値観を炙り出す「装置」として語り合う。その知的かつ馬鹿馬鹿しい応酬に、読者はいつしか「自分にとってパンとは何か」を真剣に考えさせられてしまうのだ。
