仕事と育児に追われる毎日で、家の中はぐちゃぐちゃ、毎月のお金をどう使っているのかも把握できていない……。そんな生活に限界を感じ、人生の立て直しを図った真船佳奈さんのエッセイ漫画『さよなら!行き当たりばったり人生!お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』が共感を呼んでいる。テレビ東京社員で漫画家でもある真船さんは、FPから「このままだと1.3億円の負債を抱えるかも」と宣告されたという。そこからどう生活を変えていったのか、赤裸々な裏話をきいた。
想定外の負債宣告に「思わず笑ってしまった」
――FP(ファイナンシャルプランナー)さんに相談したときに、「計算上、真船家は生涯で1億3000万円の負債を抱えるかも」と言われたそうですね。言われた時はどう感じましたか?
最初は、想定外の数字すぎて「嘘やろ」と笑っちゃいました(笑)。「老後にそんなに贅沢できないかも」とか、「子どもにあんまり遺してあげられないかもね」というレベルで考えていましたので。
でも同時に、数字として見せてもらえたことで目が覚めました。それまでは、一生懸命働いているのに漠然とした不安、把握できていない不安が大きくのしかかっていました。だから数字として正体が見えたことで、逆にそういった不安からは解放されたところもあったんです。
――そもそも、なぜそこまでの負債が積み重なるシミュレーションになってしまったのでしょうか?
毎月いくら出費があるか把握していなかったのが大きな原因ですね。光熱費もすごく上がり、生活費だけでかなりの額になっていました。働いている人って、とにかく「買うこと」で忙しい生活を保とうとするところがあると思うんです。育児のちょっとした不便をグッズを買って解決しようとしたり、息抜きで見たSNSで便利グッズが欲しくなったり。
ベビーシッター代もかさみますし、料理が作れないときには外食に頼ることも多かったです。忙しくて子供の相手をしてあげられない罪悪感から、ついついオモチャに課金をしてしまうこともありました。
――わかります。お金で解決できることも多いです。
でもそれだけじゃなく、子どもが寝た後のネットショッピングが息抜きになっていて、ポイント目当てで謎のものをどんどん買ってしまっていて(笑)。ポイ活ってめっちゃ楽しいじゃないですか。当時の家は床が見えないほど散らかっていたので、すでに持っているものをまた買ってしまうこともあって。引っ越しのときに気づいたんですが、なんとうちには包丁を研ぐ砥石が6個もあったんです……!(笑)。
いくら遣っているかも把握しないまま消費をしていたら、家賃や光熱費、食費も入れると、もう片方の給料がすっぽり消えるほどの出費になっていました。これはヤバいなと……。
――FPさんからのこの衝撃的な一言が、「行き当たりばったり」な生活から脱却し、人生を立て直そうと誓ったきっかけだったのでしょうか?
それもありますが、全体的に限界が来てしまったんです。2023年の5月に育休から復帰したんですが、想像していた以上に、子どもが病気で熱を出して何日も保育園に行けなくなったりして、私もしばらく会社をやすまなくては行けない日が多くなりました。これからちゃんと働けるのかなという不安がある一方で、周りの友達は家を買ったり、人生を堅実に進めているんですよ! この差はいったいなんなのかと……。
子どもがいない間は、夫婦で好き勝手生きて最悪野垂れ死んでもしょうがないと思っていましたが、子どもをそれに巻き込むわけにはいかない。「このままだと迷惑をかけちゃうかも」という思いがこみ上げてきて、もうここで人生を立て直す!と誓い、まずはFPさんに相談することにしたんです。
――当時の生活は、お金以外にもまずかったのでしょうか?
正直もう酷かったです。家に帰ると汚いし、子供は保育園に慣れなくて機嫌も悪いしで。さらに、保育園関係や役所から届く大事な書類なんかもすぐになくすので、「ない、ない」と毎日が探し物地獄でした。「ない、ない」と毎日のように探していました。
悪いのは自分ではなく「システム」だった
――そこから、どうやって生活を改善していったのでしょうか?
とにかくハードルを上げすぎず、「スモールステップ」でちっちゃいところから実績を積み上げることに重きを置きました。まず喫緊の課題であるお金の管理に関しては、いきなり家計簿をつけるようなことはやめました。数字が大っ嫌いなので、絶対続かないなと。私、数字を見るだけで鳥肌が立ってしまうので(笑)
その代わり、FPさんが来る直前、そして来ている時間はちゃんとお金と向き合おうと決めて、FPさんがいる間に仕組みを整えて、あとはその通り運用するだけにしたのが大きかったですね。銀行口座やカードを整理して、お金の流れを見える化して、とにかく「システム」を作りました。NISAのつみたても設定しましたし、あと家を買ったのが大きいですね。
――作中でもマンション購入をきっかけに、収納や片付け、掃除をきちんとするようになっていく様子が描かれています。
その頃住んでた家がヤバかったんですよ。交通量が多い交差点に面していて救急車や消防車がひっきりなしに通るようなところで。いや、ほんと「騒音のエレクトリカルパレード」です。生まれたばかりの子どもと一緒にそこで暮らすのが辛くて実家の近くの賃貸に住み始めました。そうしたら設備が古いせいか光熱費が高く、駅から遠いせいでタクシー代がかさむし、住んでいるだけでお金が出ていく…もはや「恐怖の館」だったんです!
ここに暮らしているうちはお金は貯まらない!と気づいたので、「家を買おう!」と。1日で3件まとめて内見して3件目で運命を感じて買いました。夫の反対を押し切る勢いで「ここだ!」となりましたね。そこからもう二度と散らかさないと誓って、収納や片付けに力を入れることにしました。
――本の中でも様々なテクニックが描かれていますね。特に「お片付け2段階システム」が印象的でした。やる気のないときや疲れているときは一時置き場にまとめて置いておき、時間のあるときに本来の収納場所に戻す、というテクニックはかなり実用的だと思います。
あれは最初のステップのハードルを下げることで、継続につなげることができるんですよ。おすすめです。
――作中で一貫して描かれているのは「悪いのは自分ではなくシステムだ」という点です。苦手なことを仕組み化することで、乗り越えていく姿が印象的です。
はい、「悪いのは〜」というのは整理収納コンサルタントの本多さおりさんからいただいた言葉です。例えば掃除ってすごく億劫じゃないですか。だから、学校の「今から掃除の時間です」といった校内放送みたいに、決まった時間にアラームが鳴るようにして掃除の時間をリマインドするような仕組みを作りました。そして、掃除の時間中はYouTube動画を観ながらやるんです。「これは掃除の時間じゃなくて、動画を観る時間だよ」と自分の脳を騙して(笑)。

