今年、芸歴30年、50歳を迎える女芸人・まちゃまちゃさん(49)。2005年、『エンタの神様』で女子プロレスラー風キャラクター“摩邪”としてブレイクし、「はぁ⁉」の決め台詞と毒舌ネタ、さらに緑とオレンジのモヒカンという強烈なビジュアルで一躍人気を集めた。
しかし、その裏にはエンタ出演目前の舞台での降格や、ネタが出ない苦悩など、長い葛藤の日々があった―。ブレイクから約20年。当時の舞台裏と“摩邪”誕生秘話に迫った。(前後編の前編)
芸歴30年は「耐えたーー!」の一言に尽きる
――今年、芸歴30年、50歳を迎えることへの率直なお気持ちをお聞かせください。
まちゃまちゃ(以下、同) とにかく「耐えたーー!」の一言っすね。
――芸歴30年の中で、一番しんどかった時期は?
『エンタの神様』でブレイクする直前ですね。そのときは、芸人は続けたいけど、もう吉本興業は辞めようかなって思ってました。
――そもそも『エンタの神様』に出演するきっかけは?
当時、中野のキャバクラで、コントに使うパッサパサの金髪ヅラかぶって働いてたんですよね。で、『ルミネtheよしもと』の舞台で、そこの同僚のキャバ嬢の悪口を10分間ずーっと言い続けるっていうネタを披露したんです。私、普段から「はぁ⁉」ってよく言うんですけど、その一言をプロデューサーが拾ってくれて、「それネタにできない?」って言われたんです。
――そこからスムーズに『エンタの神様』出演に至ったんですか?
それが全然スムーズじゃなくて(笑)。“摩邪”にたどり着く前に、ヤンキーの特攻服で収録行ったら、そのままお蔵入りになってしまって。で、そこから1年間、出演もできないまま週1の打ち合わせだけが続くわけです。もうネタなんか出てこねぇんですよ。新橋のベンチに座って、「サラリーマンのネタ落ちてねえかな」って、白紙のルーズリーフ持って、打ち合わせギリギリまでひねり出そうとして。
――芸歴30年の中で、一番きつかったのはその時期ですか?
そうですね。打ち合わせして「ルミネでエンタのネタやってみてください」ってなって、『エンタ』の収録の直前に一回だけ、普段と違うスタイルでやったら、そのときだけ点数めっちゃ低くて。今まで良かったのに、その一回でレギュラーから「ゴングショー形式」(制限時間内にネタを披露し、観客の反応などで合否を決める形式)のオーディション組に降格っすよ。「はぁ⁉」って感じですよね。
――それはかなりショックですね。
当時の『エンタの神様』って、出られるかどうかで人生変わるレベルの番組だと思っていたので。だから余計に、「会社はこれまでやってきたこと、全然見てねぇじゃん」ってガッカリして…。正直、「もうやってる意味ねぇな」って思いましたね。
ブームになった『摩邪』誕生秘話
――その“どん底”から、どう這い上がったんですか?
当時、ペナルティさんのイベントに出させてもらってたんですけど、ゴングショーに降格したらもう呼ばれなくなるんですよ。で、そのときワッキーさんが「俺、今ちょっと光が見えてるからさ、もしうまくいったら絶対お前のこと引っ張るから」って言ってくれて。その一言はデカかったっすね。
あとは「このままゴングショーで終わるわけにはいかねぇ」っていう意地もあって。だから「レギュラー戻って、イベント一回出たら辞めよ」って決めた、そのタイミングで『エンタの神様』の出演が決まったんですよ。ほんと、人生わかんねぇなって思いましたね。
――奇跡的なタイミングですね!『エンタ』出演時、ブームとなった『摩邪』誕生のきっかけは?
あの見た目、別に狙ってやったわけじゃないんですよ。オレンジとか緑の髪色も、刈り上げも、完全に趣味なんっすよ。それで、もともと地元がヤンキー口調みたいな感じもあって(笑)、収録ギリギリでディレクターが急に「プロレスどう⁉」って言いだして。
たぶん「刈り上げ=女子プロ=極悪同盟」みたいな発想だったんでしょうね。当時、ブル中野さんに間違われることも多かったし(笑)。そのプロレスをフックにしたことで、今までのネタが一気にやりやすくなって、「これならハマるわ」っていう形になったんです。
――ちなみにプロレスはもともと好きだったんですか?
女子プロはめちゃくちゃ好きでした。むしろやりたいくらい。子どもの頃、大好きだった「クラッシュ・ギャルズ」の長与千種さんが敗者髪切りマッチで丸刈りにされたとき、学校に行けないぐらいショックで。今なら「坊主の何が悪いんだよ」って思うけど(笑)。
――毒のあるネタのアイディアは、普段の生活の中から拾っていたんですか?
完全に日常ですねぇ。揚げ足取りっていうか、普段から思ってることそのまま口に出してるだけ。客席で見てた友達にも「呑んでるときのお前じゃん」って言われるぐらい。私、普段から愚痴も悪口もめちゃくちゃ言うんで(笑)。そのスピード感でポンポン出てくるのがすごいって周りにも言われることもあって、それで笑ってもらえるのが気持ちいいんですよね。

