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「我那覇選手は誰がどう見ても真っ白です」…“これはドーピングじゃない”医師団がJリーグに突きつけた“冤罪”の二文字

「我那覇選手は誰がどう見ても真っ白です」…“これはドーピングじゃない”医師団がJリーグに突きつけた“冤罪”の二文字

FIFA・WADAの見解

この連絡協議会における田嶋の立場上、DC委員会、チームドクターのどちらにも中立的な発言に終始せざるをえないので、事実だけを述べるにとどまっているのは仕方がない。

しかし、このFIFA・WADAの見解はすでに雄弁に我那覇はドーピングではないと物語っていた。何となればWADAは本当にドーピング違反と判定したならば、それを看過するような甘い機関ではないのである。WADA規程の罰則では2年間の資格停止処分、たった6試合の出場試合停止では済まされない。

事実、2006年にスケルトンの世界王者であったアメリカのザック・ランドが育毛剤でドーピング違反となった際、米国内で下された「警告」という処分に対してWADAはそれを容認せず、CASへ2年間の出場停止を訴えている(CASは1年間出場停止処分の裁定)。WADAは裁定が軽いと思えば決して見逃さず必ずCASに申し立てる。換言すればドーピングとはそれほどまでに重い罪なのである。

WADAは各国のアンチ・ドーピング機関が下したドーピング違反に対する処分が軽いと判断した場合、機構の経費でCASに訴えるわけだが、逆に処分が重過ぎる、あるいはこれは無罪であると判断したら、自らの経費を使ってまで訴えることはない。

それは不当な処分を受けたと考える選手自身が自分の経費でCASに訴えるものだからである。田嶋は続けた。

「ただ、今日はっきりしたのは、争点は二点ですね。TUEの提出義務の有無と適切な医療行為を誰が判断するのかという二点が明確になれば、逆に言えば、この二点が明確にならなければ同じ議論をずっと繰り返し続けなければいけないと思ったので、横から口を挟ませてもらいました」

田嶋はこの二つの争点をFIFAとWADAからしっかりと回答を得るので、ここはもうJFAに預からせてほしいという提案をした。また、青木に対する解任動議は組織的な運営上、理事会で話をすることであると答え、「今日はこれ以上話をするのはそれほど意味があるとは思えなくなったので、あえて言わせていただきました」と結んだ。

ドクター側からは裁定の再考についても念押しの声が上がり、仁賀は照合する際のポイントを強調した。

「FIFA、WADAのことについてひとつだけ言わせて下さい。海外から見ると、どうしてこんなことが起こったか理解できないと思います。なぜなら、TUEを出している段階でその現場の医師は自分のやっていることが正当な医療行為と判断していないのです。

TUEを出したというところから始まったら、これは真実が見えません。この真実を見るとしたら、その前に『あらゆる静脈注射に関するTUEの提出を求めた』。これを必ずFIFAとWADAに伝えてください。もうひとつ、『正当な医療行為かどうかをDC委員会が判断する』。この二つを向こうに伝えない限り、この事件がなぜ起きたか、真実は見えないです。これだけお願いします」

ローカルルールが前提になっていることでジャッジの目を曇らせてはいけない。TUEを出しているなら、医師は正当ではないことをすでに認めているのではないか、と思われてしまう。また現場の医師ではない者が正当かどうかを判断するという極めて歪んだ事態になっていることをFIFA、WADAに伝えなければならない。

田嶋「FIFAもその国で起こっていることに対して『こうだ』とは言わないんです。今までの事例を調べても、それは自分たちで判断しろというのが流れです。だからこそCASのようなものが必要なのかもしれないですが、今の二点については理解します」

文/木村元彦

争うは本意ならねど(集英社公式サイトhttps://books.shueisha.co.jp/cbs/c2082/c290-26384/にて26年5月6日まで無料公開中)

争うは本意ならねど ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール

木村 元彦争うは本意ならねど ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール2011/12/151650円(税込)304ページISBN: 978-4797672015一通の手紙が、我那覇のもとに届いた・・・。 彼は、なぜ立ち上がったのか? 無実を証明した我那覇と、彼を支えた人々の勇気と友情の物語。 世界が 注目したJリーグのドーピング冤罪事件の真実が、いま明かされる!

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