駅弁というのは、単なる「移動中の食事」ではない。フタを開ける瞬間のワクワク感、そしてその土地ならではの味覚との出会い。ある意味で、旅そのものよりも駅弁を楽しみに出かける人がいるのもうなづける。
全国各地に名物と呼ばれる駅弁が存在するのだが、千葉県にも古くから愛され続けている代表的な逸品がある。それが万葉軒(マンヨーケン)の「トンかつ弁当」だ。
名前だけは昔から知っていて「いつか食べてみたい」と思っていたのだが、先日千葉駅を利用する機会に恵まれ、念願の対面を果たした。私(佐藤)が実際にその弁当を食べて感じたのは、ただ美味しいというだけではない、そこはかとなく感じる「昭和のぬくもり」だった。
・千葉の駅弁
お店は駅に隣接する商業施設「ペリエ千葉」の3階にあるらしい。だが、ペリエの中をいくらうろついても一向に見つからない。GoogleMapsを凝視して、自分が間違った場所にいることに気づいた。これは改札内じゃないのか?
幸いこれから電車に乗るところだったので、中央改札を入って、少し行ったところでお店を発見した。入口に掲げられた「千葉の駅弁」の文字、旧国鉄時代から駅弁を販売している老舗の自負がうかがえる。
ショーケースには、「菜の花弁当」や「ジャンボかつ弁当」などが並んでいるが、やっぱり迷わず定番にして看板商品の「トンかつ弁当」(税込782円)でしょ。まずはこれを食べないことには、万葉軒を知ることはできない。
持ち帰って改めてじっくりパッケージを見る。黄色の包み紙には、フライパンと菜箸を持った「豚のコックさん」が描かれている。
自らを調理しているというシュールな構図だが、昔はこういうイラストをよく見かけたものだ。昭和のかおりがプンプン漂っていてたまらない。
・潔い一点突破
さっそく紙を取ると、その中身は潔いまでの「トンかつ弁当」っぷりだった。ご飯の上に、トンカツがどーんと鎮座している。野菜の彩りなどは一切ない、堂々たる一点突破。
昔は今ほど食材が豊富だったわけではないから、これだけでも十分なご馳走だったのだろう。
と思ったら、カツをめくったらその下に柴漬け・昆布の佃煮・そして竹の子の煮物がひっそりと並んでいる。オマケ程度かと思えば、どれもちゃんと手が込んでいて美味い。歳を重ねると、メインの肉よりもむしろこういう副菜が沁みたりするんだよなあ。カツなしでもこれだけで十分白飯がいける。
