生活協同組合コープみらいは5月6日、配送委託先の配達員が車の荷台の中で容器に放尿し、その尿が漏れ出して汚損させた冷蔵食品が配達されていたとして謝罪を表明した。食品の安全への信頼を失わせる事態に同業のドライバーも「ありえない」と絶句している。なぜこのようなことが起きたのか。
生協広報は「配達員の故意ではありません」「事件性はない」
問題は4月28日、ヨーグルトのカップなどが入った袋に黄色い液体がたまっている写真に
〈今日届いた生協の品物の袋に、、あの、黄色い液体がいっぱい入っていて、、なにこれ? ちょっと信じたくないけど人の尿のような匂いがする…のだけど何、、?〉
との説明がつけられたXのポストによって発覚した。
8日後の5月6日、東京、千葉、埼玉で380万人超の組合員数を誇る最大級の生協、コープみらいがホームページに謝罪文を掲載した。写真のヨーグルトは同生協の配達商品で、ポスト主のAさんの疑念が事実だったと認める内容だ。そこではAさんから4月28日に連絡を受けて調査した結果として、
〈配送委託先の従業員が配送業務中に、車両荷台内において生理現象(尿意)を催し、荷台内にあった廃棄予定の配送器材(発泡スチロール容器)に排尿した事実を確認いたしました。蓋をして荷台の床に置きましたが、その後足下のスペースがなくなり、被害のあった組合員様の配送器材の上に載せてしまいました。当該の器材には穴が開いて破損があったため、漏れ出した尿が下段にあった組合員様へお届けする配送器材に移り、内部の冷蔵商品を汚損させた状態で配達が行われました。(中略)本件は当生協として、食品安全および公衆衛生、コンプライアンス上の重大な問題であると重く受け止めております。〉
と説明。問題の配達員には厳正に対処し、再発防止教育と規律・運用の点検、配送ルート上のトイレの事前確認と情報共有も行なうと表明した。
配達員の不適切な行為で生じた事故、との結論だが、別の容器から漏れた尿が配達商品の袋の中に入ることなどあるのだろうか。事故であると判断した根拠を同生協にたずねた。
「組合員様(Aさん)からの連絡を基に配達員から事情を聴き、穴があると認識せずに資材(容器)に排尿してそれが漏れて商品が汚損されたことを確認しました。
ヨーグルトが入っていた袋は口が折り重ねられていただけで密封されておらず、尿が中に入ったと判断しました。ほかの組合員様の商品の汚損がなかったことは確認しています。(商品を汚したのは)配達員の故意ではありません。(Aさんから)連絡を受けて立ち会った警察のかたからも『事件性はない』と聞かされています」(広報担当者)
配達員は尿意を我慢できず荷台内で排尿したとなっている。では配達中にトイレに行けない状況があったのではないか。そうたずねると広報担当者は、
「宅配需要はコロナ禍を経て増えていますが、配達先の設定は適切にしており、トイレに行く時間がないほど(一人あたりの)配達量が多いという過酷な状況ではないです」
と否定した上で、今回の行為は「食品安全への認識と教育」が欠けていたことが原因のひとつだと説明した。
ただ配送車両の中で排尿した例を確認したのは、今回が初めてだと強調した。
「コンビニでもサービスエリアでも停められるし普通にトイレに行けます」
同業者も今回の行為には驚愕している。宅配便を配達する50代のBさんは、
「20年以上配達の業界にいますが車内で用を足すなんて聞いたことがありません。人としてありえないでしょ。食品を扱う業種ならなおさら間違ってますよね。そんなことをするのは多分その配達員だけだと思います」
と非難した。街中の配達時のトイレ事情についてBさんは、
「私の場合、配達は担当エリアが決まっていて、公園の場所を把握しているので基本的に公衆トイレで済ませています。オフィスビルのお客さんと仲良くなって共用トイレを使わせてもらうこともあります」
と話す。
2トントラックドライバーのCさん(46)も、トラックの種類によっては車内で用を足すことはあるが小型の配送車はそうではないと指摘した。
「長距離トラックやトレーラーは簡単に停める場所が見つからずトイレに行けない時があるから、用意したペットボトルに車内で用を足す運転手もいると聞きます。ただ生協系の配送車は小さめのトラックですよね。2トントラックの自分も、コンビニでもサービスエリアでも停められるし普通にトイレに行けます。
お客さんに届けるものや工場に返す発泡スチロールの中に用を足すなんて、廃棄予定だったとしても配送の仕事をしている人間からすれば考えられません」(Cさん)

