個人のビジネスを大きくスケールさせるには、何が必要なのでしょうか。『顔タイプ診断®』という新たな市場を創り出し、現在では8,000名を超える資格取得者を輩出するまでに事業を拡大させたのが、岡田実子さんです。MOSH株式会社が主催したイベント『美容ビジネスの「ブランド」と「熱狂」の創り方』のトークセッションより、ファンが自走するコミュニティづくりの秘訣や、ビジネスを拡大するためのマインドセットをお届けします。
遠くへ行きたければ、みんなで行きなさい——大人気サロンからの転換期
—— まずは岡田さんのこれまでのご経歴と、現在取り組まれているビジネスについて教えていただけますでしょうか。
私は、パーソナルカラー診断などを行うイメージコンサルタントとして、21年前から銀座で自分のお店を持っています。その仕事をする中で、もっと自分に似合うものを知って輝く人を増やしたいと思い、プロを育成するスクール『HAPPY SPIRAL Academy』を11年前に開校しました。
その後、研究を重ねて『顔タイプ診断』というメソッドを作り、9年目になります。現在はイメージコンサルタントのスクール、女性向けのお店、メンズ専門店を運営しつつ、一般社団法人 日本顔タイプ診断協会の代表理事を務めています。
—— 世の中にパーソナルカラー診断や骨格診断という有名なメソッドがある中で、新しくお顔の診断を作られた背景には、どのようなことがあったのでしょうか。
当時はパーソナルカラー診断と骨格診断の2つでイメージコンサルタントのお仕事をしていましたが、「お顔によって似合うものが違う」ということに気がついたのです。そこで、詳しく学べる学校がどこかにあるだろうと思って探したのですが、ありませんでした。
最初は自分の中でも「この考えは正しいのか?」と不安がありました。その不安を払拭すべく、仕事を終わらせ、子どもの寝かしつけをした後に、夜な夜な数値を測りながらどのような理由で顔が関係するのかを研究しました。5,000名以上のお客様の顔写真を分析して、メソッドが自分の中で確立されたときに、これをパーソナルカラー診断や骨格診断に並ぶ一般理論にしようと決意したのです。
—— ご自身のメソッドを個別コンサルティングとして販売するケースもあると思います。それをあえて、一般理論にして広めようとしたのはなぜでしょうか。
私の個人のお店は、大変ありがたいことに全国や世界中からお客様がいらして、1年後まで予約が埋まる人気のサロンでした。それはとても幸せなことだったのですが、1年間に自分が担当できる人数が見えてしまったのです。世の中の人をもっと綺麗にしたいのに、私は一生かかってもこの人数しか対応できないのだと限界を感じました。
多くの方が、一人でビジネスを頑張る中で「自分一人の労働時間ではこれ以上事業を広げられない」という壁にぶつかると思います。私もそうでした。そんなとき、たまたまアフリカのことわざに出会いました。「早く行きたければ、一人で行きなさい。遠くへ行きたければ、みんなで行きなさい」という言葉です。
私はずっと早く行きたかったから一人でやってきましたが、これからはみんなで遠くへ行きたいと思いました。自分一人で抱え込まずに、誰でも使える一般理論にしてスクールを作れば、遠くにいるより多くの人も含めて幸せにできる未来が叶うのではないかと考え、スタートしたのです。
自分のエゴを捨て顧客目線に立つ。マスに広がるサービスの作り方
—— メソッドを作って広めていく上で、苦労や葛藤はありましたか。
苦労という点では、やはり誰がやっても同じ結果になる「再現性」がないと、私にしかできないものになってしまいます。最初は、4タイプの簡単な診断を作ったのですが、それでは診断するイメージコンサルタントによって結果が変わってしまい、危ないと感じました。
そこから自分が責任を持ち、検証を繰り返して科学的に分析できるように作り込み、最終的には8タイプになりました。葛藤としては、「私が考えた理論を、世の中の人に使われる『正解』としてしまって本当にいいのだろうか」というプレッシャーがあり、それが怖くて怖くて……ものすごく研究しましたね。
——「顔タイプ診断」というサービス名にもこだわったそうですね。
売れるものを作るには、マーケティングやお客様がどう思うかという顧客目線が一番大切です。「顔タイプ」と言われたら、パッと見た瞬間に気になりますよね。説明をしなくても興味を持っていただけるように、たくさんのネーミングを考えてアンケートを取りました。実は、私としては「フェイス◯◯」といった、かっこいい名前にしたかったのです。しかし、それでは見た瞬間に興味を持ってもらえず、不採用となりました。
—— サービス名を決めるためにアンケートまで取られていたのですね。どのように実施されたのでしょうか。
アンケートを取る際に大事なのは、こちらが想いを語ったり説明したりしないことです。そうしないと、一般の方の心理が読めなくなり、相手を誘導してしまいます。私はターゲット層であるショップの店員さんに、いきなりサービス名の候補を見せて「どれがいいですか」と聞き、正の字で人気を数えていきました。あえて説明をしないことが肝です。想いを伝えてしまうと自分側に寄せてしまい、自分のエゴのサービスになってしまいます。万人が受けたいと思うサービスに設計することが大切です。
—— 自分のサービスをマスに広げていくために、どのようなプロセスを踏みましたか。
マスに広げるためには自分一人だけでは難しく、それを伝えてくれる人が多くなるほど広がっていきます。その状態を作るために、早々から講師を育てることをスタートしました。
また、一般層との接点として本を出したいと思い、行動しました。実は周りから「いつか本を出せるよ」と言われていたので、最初はオファーが来るのを待っていたのですが、一向に来なかったんです。
そうしているうちに同じジャンルの競合が現れたため、「“顔”といえば顔タイプ診断」と第一想起される存在にならなければと焦り、出版塾に通いました。本を出してからはテレビや雑誌にも取り上げられ、さらに認知が広がっていきましたね。
新たな施策を考えるときは、常に夫や周りの人々とブレストをしています。アイデアが浮かばないときは、全く違うジャンルで成功している方に会いに行き、壁打ちをして自分のビジネスに転換できないかを考えるようにしています。
