最近、胃痛や腹痛、便秘、胸やけなどの不調を感じることはないだろうか。市販薬で一時的に落ち着いても、また同じ症状を繰り返す――。そんな消化器のトラブルの背景には、食事時間の乱れや睡眠不足、ストレスなど、日々の生活習慣が関係していることも少なくない。
消化器は体の中でも特に生活習慣の影響を受けやすい臓器だという。今回は、消化器外科・内視鏡領域を専門とする医療法人社団筑三会の院長・鈴木隆二先生に、生活習慣と消化器の健康の関係について話を聞いた。
胃腸の不調を招くカギは「生活習慣の乱れ」
鈴木先生は、「消化器は生活習慣の影響を最も受けやすい臓器です」と話す。
日常診療の中でも、胃痛や便秘などの症状の背景に生活習慣の乱れが関係しているケースは非常に多いという。特に関連が深い習慣として挙げられるのが、「食事時間の乱れ」「睡眠不足」「運動不足」「飲酒・喫煙」の4つだ。
例えば、夜遅い時間の食事は胃腸に大きな負担をかける。
「胃は食後、食べ物を腸へ送り出すまでに2〜3時間ほどかかります。就寝直前に食事をすると、横になったときに胃酸が逆流しやすくなり、逆流性食道炎の原因になることがあります」
また、睡眠不足も胃腸の働きに影響を与える。睡眠が不足すると自律神経のバランスが乱れ、胃腸の動きが低下するため、胃もたれや便秘、過敏性腸症候群の悪化につながることもあるという。
さらに運動不足も便秘の原因の一つだ。
「腸の動きは身体活動と密接に関係しています。運動不足になると腸の蠕動運動が低下し、便秘が慢性化しやすくなります」
飲酒や喫煙も、胃腸の健康に影響を及ぼす。
「アルコールは胃の粘膜を直接傷つけますし、喫煙は血流を低下させて粘膜の修復を妨げます。これらは胃炎や潰瘍だけでなく、将来的ながんリスクにも関与すると考えられています」

「何を食べるか」だけでなく「どう食べるか」も重要
食生活も、胃腸の状態を大きく左右する要因だ。
現代人の食生活には、消化器に負担をかけやすい習慣が多く含まれているという。例えば脂っこい食事は胃の排出を遅らせ、胃もたれや逆流性食道炎を引き起こしやすい。
また、忙しい日常の中で習慣化しがちな早食いにも注意が必要だ。
「早食いは咀嚼が不十分になり、消化に負担がかかります。さらに空気を多く飲み込むため、お腹の張りやガス症状の原因にもなります」
食べ過ぎも胃腸に負担をかける要因の一つだ。消化能力を超えた食事量は胃痛や下痢などの症状につながるだけでなく、肥満や生活習慣病のリスクも高める。
さらに、食物繊維不足も便秘の原因になる。
「食物繊維は腸内で便の“かさ”を作る役割があります。不足すると便の排出が滞り、便秘になりやすくなります」
日常生活の中で見直しやすいポイントとして、鈴木先生は次の3つを挙げる。
・寝る3時間前は食べない
・食事は急がずゆっくり食べる
・1日1回は野菜や海藻を意識して取り入れる
「極端な食事制限をするよりも、小さな習慣改善を続けることが消化器の健康につながります」

