増補改訂版「差別はいけない」とみんないうけれど。
綿野 恵太
2026/1/71,210円(税込)320ページISBN: 978-4022621153――推薦 読書猿
「ずるい」が幅をきかす世界で、私達はこの本を以前よりずっと必要としている。
――解説 千葉雅也
本書の最大の功績は、アイデンティティvs.シティズンシップ(市民権)という対立を明確化したことだ。……(一部抜粋)
「なぜ、差別はなくならないのか?」
誰もが一度は抱く問いに「自由主義」と「民主主義」の矛盾から切り込む。
差別を生み出す政治的・経済的・社会的背景に迫る、多様性時代の必読書。
文庫化に際し、大幅な加筆修正を施したうえで、
新章として「道徳的にも弱い私たち」と、千葉雅也氏の解説を追加。
本書のタイトルは『「差別はいけない」とみんないうけれど。』である。
誤解されても困るので、最初に本書の立場をはっきりとさせておこう。「差別はいけない」というのは大前提である。職場やキャンパスでセクハラをしてはいけないのは当然だし、在日外国人へのヘイトスピーチをネットに書き込むことも許されない。このような認識は常識化しつつあり、みんなが差別はいけないという時代になりつつある。
しかし、世の中には「差別はいけない」と言われることに反感を覚えるひとたちも存在する。本書は、そうした反感にも、それなりの理由があると考える。セクハラやヘイトスピーチが後を絶たないのは、「差別はいけない」と叫ぶだけでは解決できない問題があるからだ。
本書は、彼/彼女らの反発を手がかりにして、差別が生じる政治的・経済的・社会的な背景に迫っていきたい。『「差別はいけない」とみんないうけれど。』というタイトルにはそんな意味が込められている。
(本書の「まえがき」より抜粋)
【目次】
まえがき
みんなが差別を批判できる時代――アイデンティティからシティズンシップへ
第1章 ポリティカル・コレクトネスの由来
第2章 日本のポリコレ批判
第3章 ハラスメントの論理
第4章 道徳としての差別
第5章 合理的な差別と統治功利主義
第6章 差別は意図的なものか?
第7章 天皇制の道徳について
あとがき
ポリティカル・コレクトネスの汚名を肯定すること、ふたたび
増補
道徳的にも弱い私たち――文庫版あとがきに代えて
解説
千葉雅也(アイデンティティとシティズンシップの狭間で)

