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【コラム】SNS投稿時代に一石! ジブリパークの「撮影禁止」について考える

【コラム】SNS投稿時代に一石! ジブリパークの「撮影禁止」について考える

愛知県長久手市、広大な公園内にスタジオジブリ関連施設が点在する「ジブリパーク」。

楽しみ方はいろいろあるが、見どころは「サツキとメイの家」「地球屋」など、作品世界を再現した実物大建築物だろう。しかし「どんな部屋があるのかな」「どれくらいリアルなのかな」と事前に調べたときに、SNS上にほとんど写真がないことに気づくかもしれない。これらの建物内部は完全に写真撮影禁止。

その代わり総合展示施設「ジブリの大倉庫」には、実物大ジオラマのなかで登場人物になりきって写真を撮れる「ジブリのなりきり名場面展」がある。

初めてジブリパークを訪れた筆者。このメリハリに感嘆してしまった。コンテンツ保護のための撮影禁止ではなく、体験価値を守るための最善策と思えたからだ。

※以下「どんな展示があるか」に文章上で一部触れています。ネタバレを避けたい方は先に進まず戻ってください。

(1)写真を撮るために人が滞留しない

撮影禁止のもっとも実際的な利点は、言うまでもなく「奇跡の1枚」を撮るための人々が滞留しないことだろう。

控えめに言って、展示はどこも「最高に写真映えしそうなスポット」ばかりだった。背景にしたらそのまんま作品の登場人物になれるし、生活用品のディティールなんて何百枚撮っても足りないのでは、というくらいだ。

だからこそ。

建物はどこも「実際の家サイズ」なので、決して広くない。もしひとりでも写真を撮るために立ち止まっていたら、大渋滞が起こるだろう。撮影を不可にするだけで、動線がものすごくスムーズになる。

また、必然的に動画ライブ配信者が存在し得ないのもメリット。特に迷惑行為がなくとも、ライブ配信は周囲に不安を喚起することが多いと思う。私たちメディアも、撮影時には「不安や不快に思っている人が必ずいる」と肝に銘じなければいけないが、カメラがないだけで場に安心感が生まれることを実感する。

(2)目の前のことに集中できる

写真が撮れない、つまり手にスマホを持っていないとどうなるか。自然と目の前のことに集中するようになる。ジブリパークで素晴らしかったのが、多くの場所で「展示物に手を触れてもいい」ということ。

これは勇気ある決断だ。破損もするだろうし、展示物を持ち帰ってしまう人がいないとも限らない。いろいろなリスクはあっても、来場者の善意を信じるという強い信念だろう。

「サツキとメイの家」では、押し入れを開けると家族全員分の布団とパジャマが出てくる。タンスには、ちょっと防虫剤の匂いのするお父さんの服が入っている。劇中さながらに二階への階段を探して回れるし、メイちゃんの帽子も見つかる。発見の連続で、「自分で見つけた!」という満足感が湧き上がる。

スマホのディスプレイを通さないぶん、五感が鋭敏になる。手に持ったメイちゃんの服の小ささ、押し入れのきしみ、古い食器がかもしだす生活感……実体験として鮮やかに記憶に刻み込まれる。

ドキュメンタリー番組『ジブリパークができるまで。』で、宮崎吾朗監督が「実際に生活しているように洋服をたたみ直したりして、どんどん触ってあげるといい」とスタッフに話していた。それが「家を生かす」ということなのだろう。

驚くことに、「サツキとメイの家」は薪でお湯を沸かせたり、かまどでご飯を炊けたり、実際に生活できるように作られているそう。神は細部に宿る。

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