解体工事、ペットシッター、インストラクター。「顔を隠してはたらいた」日々を乗り越えるまで
仕事が激減し、「じっとしてはいられない」という想いはありながらも、慶太さんには“元芸能人”という肩書きが重くのしかかります。
「一応、芸能人の端くれだしな……という葛藤があって。最初は、ヘルメットとマスクで顔を隠して、周囲から見えないところで作業する解体工事のアルバイトなどをしていました。『人前に出る仕事はもう自分にはできない』と決めつけていたんです」
その後も、慶太さんはもがくようにさまざまな仕事に挑戦します。動物好きを活かして「愛玩動物飼養管理士」の資格を取得しペットシッターをしたり、水道工事の現場で夜通し水道管を新しくする作業に徹したり。そうしてさまざまな現場を渡り歩く中で、転機となった仕事がフィットネスクラブのインストラクターでした。
「レッスンを受けに来てくれる方たちが、『テレビ見ていましたよ』『今度は何に出るんですか?』と、温かく声をかけてくれたんです。ぼくを楽しみにしてくれている人たちがいた。そのとき、ハッとしたんですよね。隠れる必要なんて、何もないんだなって」

「芸能の仕事をしていたから他の仕事はできない、と自分で勝手に思い込んで壁を作っていただけ。人目を気にして自分を制限していたのは、自分自身だったんです」
この気付きが、慶太さんを“元芸能人”という肩書きの呪縛から解き放ちました。人目が気にならなくなったことで、ようやく「自分が本当に打ち込める道」をフラットに探せるようになったのです。
「この仕事しかできない」とあきらめている人へ
慶太さんにとって内装職人の道へ進む大きな後押しとなったのは、すでに建設業界で電気工事士としてはたらいていた同級生の存在でした。「内装の仕事、手伝いに来る?」という同級生からの誘いを受けた慶太さんに、迷いはありませんでした。

現在の斉藤慶太さんは、内装職人だけでなく、2人の子どもを持つ父親でもあります。かつて自分のプライドを守るために顔を隠してはたらいていた日々を経て、今は「家族を養い、喜んでもらうこと」が、何よりの誇りになりました。
「ぼくにとって、はたらくとは生きることです。はたらくことで家族との暮らしを守ることができるし、喜んでもらえる。それが今は一番のモチベーションです」
かつての芸能界では仕事をおざなりにしていた時期もあったという慶太さん。しかし今は、自分の技術ひとつで、確かな「仕上がり」を届けています。そんな慶太さんに、はたらくことにモヤモヤを抱える若者へのアドバイスを聞きました。
「ぼくもかつては、何を仕事にしていいか分からず、『これは自分にはできない』と勝手に壁を作っていました。でも動いてみると、その壁は外側にあるのではなく、自分が内側で作っていただけだったんです。だから、まずは今いる場所から一歩動いてみてほしい」

「遠回りしているように見えても、身近な人との縁を大切にしていれば、必ず道は開けます。ぼくが今こうして自分らしくいられるのは、あのとき声をかけてくれた兄や、修業させてくれた先輩とのつながりがあったから。誰かとつながり続けることが、いつか思いがけない場所へ連れて行ってくれるはずです」
※今回お伝えしきれなかったフルバージョンの動画はYouTube『スタジオパーソル』にて公開中
(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり)

