あの頃の私が放った一言
高3の文化祭実行委員会の候補に、クラスの一人の名前が挙がったとき、私はとっさに「あんたがリーダーとか無理でしょ」と笑いました。クラスの真ん中で目立っていた私には、悪気もなければ深い意味もなく、軽い冗談のつもりでした。周りの友達も笑い、彼女は黙ってうつむいていました。それから10年、私はその言葉のことなんてすっかり忘れて生きていました。
彼女の自己紹介
同窓会の会場は、地元の駅前の居酒屋の個室でした。受付で偶然彼女と目が合い、私はとっさに「久しぶり!」と笑顔を作りました。乾杯のあと、一人ずつ近況を話す時間になりました。
順番が回ってきた彼女は、落ち着いた声で「人材会社で12人のチームを任されています」と短く話しました。周囲から「すごい!」と拍手が起こりました。私は手元のグラスを握ったまま、笑顔を作るのが間に合いませんでした。10年前の自分の声が、頭の中ではっきりと再生されたのです。
