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ANAは上顧客を捨てたのか…“出張族お断り”の新ルールにマイラーは阿鼻叫喚 ラウンジは富裕層だけの聖域へ

ANAは上顧客を捨てたのか…“出張族お断り”の新ルールにマイラーは阿鼻叫喚 ラウンジは富裕層だけの聖域へ

ANAが4月下旬に発表したマイレージ制度の大幅改訂により、これまで一度獲得すれば年会費1万円台で半永久的に維持できた上級会員資格は、今年12月以降、年間300万円以上のANAカード決済という極めて高いハードルが事実上課されることになった。これに対し、ネット上ではと怨嗟の声も噴出。一方、同じくマイレージ制度を見直したJALでは、既存上級会員への“永久資格”が維持されており、両社の戦略の違いもより鮮明になっている。ANAはなぜ“出張族”を切るような決断に踏み切ったのか。その背景を航空業界の構造変化から読み解く。

上顧客の企業出張族を切り捨てか

ANAが4月下旬、マイレージ制度に大鉈を振るい、ANAマイラーに衝撃を与えている。

これまでは、大まかに言えばANAおよびその協力航空会社(アライアンス)で1年間に5万ポイント獲得すれば、空港での優先カウンターの利用、ラウンジでの無料休息などの特権を獲得できた。しかも、この特権は一度付与されると、その後は年に1万円ちょっとの年会費を払うだけで永久に継続されることになっていた。

このサービスはとくに海外に出るときに大きなメリットを発揮する。ANAの所属するスターアライアンス加盟会社を利用する際に、エコノミーチケットでも“ゴールドメンバー”として扱われ、国際線のラウンジを使わせてもらえる。

欧米では外食代が平気で5000円〜10000円を超えてしまうので、無料のフードやドリンクなどが楽しめるラウンジ利用は本当にありがたい。

ところが今回のルール変更により、今年12月以降にカウントを始め「1年間に300万円以上をANAのクレジットカードで使わないと、この特権は維持されない」ということになってしまった。これに満たない場合は国内外問わず基本的にラウンジは使えないし、優先チェックインカウンターや手荷物の先出しという恩恵はANA便を使うときだけ認められ、海外の提携各社では長い列に並ぶとともに、荷物の受け取りも長時間待つことになる。

そのため、ネット上では早くもANAマイラーからの阿鼻叫喚のような怨嗟が渦巻いている。

それらに目を通してみると、同じくマイルシステムの変更をしたものの、既存の上級会員に大きな悪影響がなかったJALと比較して、これまでの顧客を切り捨ててしまうかのようなANAのマイレージ改訂に強い批判が寄せられているように思う。

ちなみに、JALは数年前の改訂で永年資格(JAL Global Club)取得に3~5年間程度かかるようになったが、一度有資格者になれば、その資格は「一生物」として、半永久的に維持されるという「特権」はそのままである。

「聖域」と化すラウンジ

はたして今回のANAマイレージ改訂は適切だったのか? ANAユーザーの批判やライバルのJALの動向を参考にしながら、国際観光の視点から考察してみたい。

まずは飛行機のコアな客層はどこにいるのかという問いかけから始めてみよう。航空業界では一般的に、主力の客層はビジネス客とされている。

観光や帰省などによる航空機利用は季節変動が大きく、定期航空路の収益を考えると安定的な収入源にはなりにくい。その多くが自腹でチケットを買うため、どうしても節約志向で安価な券種を求めがちになるという点も、航空会社の利幅を薄くしている。

一方、会社の経費で飛行機に乗るビジネスユースの客なら、予約変更のできる高額なチケットでもさほどためらうことなく購入してくれる。

実際、上級会員になる層は多頻度で飛行機に乗るビジネス客がメインで、年末に少しポイントが足りない時に自腹で少し「修行(マイルやポイントを貯めるために飛行機に乗る営為をこう呼ぶ)」して、基準をクリアしたというケースが多い。

ANAでもこうした形で上級会員資格を手に入れた客層が、前述した通り年1万円ちょっとの会費を払ってラウンジ利用や優先チェックインカウンターといった特典的な便益を享受してきた。

ところが今回の改訂で、ANAの利用客は上級会員資格を維持するために、年間300万円以上をANAクレジットカードで決済することが求められるようになる。

一般に会社の経費は法人カードで支払うケースが多く、個人カードの使用を認める企業が少ないという事情を考えれば、普通のサラリーマンが上級会員資格を維持するのは難しい。

では、だれが対象になるかといえば、それは税金を含めた経費を自分名義のクレジットカードで払える個人事業主か、個人で月25万円以上のクレジット支出ができるほど高所得のエリートサラリーマンくらいだろう。

つまり、今回のANAの改訂はこれまで有力な顧客であった国内企業の出張族をばっさりと切り捨てることにほかならない。

だとすると、空港の豪華ラウンジは主に自営業者と高給のエリートサラリーマンの社交場となり、一般のビジネスユース客は立ち入れない「聖域」となるかもしれない。

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