
5月25日以降の値上げが告知されている、「Nintendo Switch2」 (C)Nintendo
【画像】「えっ、そういうこと」「なるほど」 これが「スイッチ2値上げ」を覆す、任天堂の「逆転」戦略です(6枚)
スイッチ2値上げは「今しかなかった」? 絶妙なタイミングを読み解く
任天堂は2026年5月8日、現在販売しているゲーム機本体や有料オンラインサービスなどを対象に、価格改定を実施すると発表しました。
特に大きな注目を集めたのが、「Nintendo Switch 2 日本語・国内専用」(以下、スイッチ2)の値上げです。従来の49,980円から59,980円へと、1万円もの値上がりとなります。
任天堂としても、本体価格の上昇は望ましい展開ではないでしょう。プラットフォーマーにとって、ゲーム機本体の売上そのものは利益の柱ではなく、自社タイトルの販売収益やサードパーティ製ソフトのロイヤリティ、オンラインサービスの利用料などが主な収益源だからです。
そのため、本体価格の上昇によってゲーム機本体の普及速度が鈍化する事態は、可能な限り避けたいはずです。しかし近年は、AI需要拡大に伴う半導体価格の高騰、世界情勢の変化による物価高、物流コストの増加など、さまざまな問題が企業活動へ重くのしかかっています。多くのメーカーが厳しい状況に直面しており、任天堂もその影響を受けていると見られます。
値上げ自体は、企業側にとっても消費者側にとっても歓迎しづらい話です。しかし今回の発表は「ここしかなかった」と言ってよいほど、任天堂にとって絶妙なタイミングだったようにも見えます。
どういうことでしょうか。スイッチ2本体の普及をめぐる状況を分析すると、値上げによる悪影響を可能な限り抑えようという「計算」が浮かび上がってきます。
「入手困難」が解消した時期があったから?
今回の値上げは、スイッチ2のさらなる普及を考えると、決して軽いダメージではありません。しかし、任天堂にとって「最悪のシナリオ」だけは回避できたとも言えます。それはすなわち、「品薄が長期間続き、欲しくても買えないまま値上げを迎える」という状況です。
スイッチ2は発売当初から高い人気を集め、各販売店での「抽選販売」が長らく続きました。申し込んでも当選しなければ購入できず、何度も抽選に落ち続けたことで、応募そのものを諦めた人もいたほどです。
しかし、2026年2月頃から状況は大きく変わりました。多くの販売店で購入条件が徐々に撤廃され、誰でも条件なしに購入できる状況になってきました。このタイミングでようやくスイッチ2を入手できた人も多かったはずです。
値上げが発表されたのは5月8日なので、少なくとも3月から4月にかけての約2か月間、「欲しい人が焦らず購入できる時期」が存在していました。
もし、「欲しいのに買えない」「抽選にも当たらない」という状況のまま値上げが発表されていたなら、任天堂やスイッチ2に対する不満は、今以上に大きく膨れ上がっていたことでしょう。
もちろん、「もっと早く買っておけばよかった」と感じる人もいるでしょうが、少なくとも「買う機会すらなかった」わけではありません。
現状でも、値上げに対する批判や不満の声は少なくありません。しかし、「欲しくても買えないまま価格だけ上がる」という最悪の展開を避けられたからこそ、大きな混乱を招かずに済んでいるとも考えられます。
そしてもうひとつ、任天堂にとって「値上げはこの時期しかない」といえる理由があるのです。
