急に増えた洗濯物の山
母を引き取ったのは、ゴールデンウィーク明けのことでした。一人暮らしをしていた70代の母の足腰が急に弱り、当面は我が家で世話をすることになったのです。
それまで3人分だった洗濯物が、母の介護用パジャマやタオル、シーツが加わって倍近くに増えました。ベランダの物干し竿だけでは間に合わず、庭にも竿を出して並べる日が続きました。
「近所からどう見えるかな」と頭をよぎることはありました。でも母の食事や通院の付き添いで一日が回らず、洗濯物の見え方まで気を配る余裕は、正直なかったのです。
玄関に立っていた自治会長
夕方、インターホンが鳴って画面を見ると、自治会長と並んで隣の奥さんが立っていました。何の用件か想像もつかないまま、玄関を開けたのを覚えています。
自治会長は柔らかい口調で「ご近所から、洗濯物が景観を損ねるとご相談がありまして」と切り出しました。私はその場で立ちつくしました。
頭をよぎったのは「やっぱり、見えていたんだ」という思いでした。気にしながら気にしないふりをしていた自分の弱さが、急に突きつけられたようでした。
