日本政府も「今、そこにある危機」と緊急対応
日本側の対策も急ピッチに進む。自民党の国家サイバーセキュリティ戦略本部と金融調査会は4月20日、合同会議を開催し、アンソロピック社側からヒアリングを実施。
戦略本部本部長の平将明衆院議員はミュトスについて「人間の力では見つけることのできなかったシステムの脆弱性を見つけることができる。それを悪用しようと思えば、攻撃にも使える事象が起きている」との認識を示した。
片山さつき財務兼金融担当相は4月24日、日銀の植田和男総裁、メガバンク3行の頭取らを集めた会合を実施し、官民合同の作業部会を立ち上げて対策を検討していくことを決めた。
片山氏は記者団に対し、ミュトスへの認識について「今、そこにある危機」と表現した。金融庁は、サイバー攻撃への防御が弱い地銀など地域の金融機関に対しても対策に取り組むよう要請する準備を進めている。
赤沢亮正経済産業相は5月1日、電気、ガス、石油、化学等のインフラ事業者を集めた意見交換会を開催。「経営上の最優先課題」として、組織トップが主導してシステムの脆弱性を見つけて対応することなどを求めた。
高校生がAI悪用で逮捕された前例も
サイバー攻撃の被害としては、アサヒグループホールディングスの例が記憶に新しい。昨年9月、大規模なランサムウェア攻撃を受けて基幹システムがダウンし、ビールや飲料の出荷が停滞し、個人情報が流出するなどの被害が出た。
警察庁サイバー警察局は今年3月、「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公表した。
その中で、「不正プログラム、フィッシングサイトの作成、偽・誤情報作成への悪用、兵器転用、機密情報漏洩といった犯罪リスクや安全保障への影響が懸念されている」と指摘した。
昨年、生成AIを悪用して複合カフェのアプリサーバーに不正な指令を送信し会員情報を漏洩させたとして、高校生が不正アクセス禁止法違反と偽計業務妨害容疑で逮捕された。
