ある日の食事会、義母からのひと言
お盆の食事会で、私は夫と焼いたカンパーニュとくるみパンを手土産にしました。テーブルに並べると、義母は包みを開け、ひとつ口に運んでから、こう言いました。「夫婦で同じ趣味なんて気持ち悪い」。
笑顔のままの言葉でしたが、すぐに続きました。「男にエプロンつけさせて、パンなんて焼かせるもんじゃないわよ」。夫は黙って湯のみに口をつけていました。私は曖昧な笑顔で受け流しましたが、テーブルの上のパンが、急に恥ずかしいもののように見え始めていました。
「私一人でやるから、休日はゆっくりしてて」
帰宅した夜、私は義母の言葉を思い出しました。考えてみれば、夫はもともと料理に興味があるタイプではありませんでした。私が「一緒にパン教室に行ってみない?」と誘ったのが始まりで、いつの間にか毎週末の習慣になっていただけです。本当は付き合ってくれていただけかもしれない。夫の時間を、私が奪っていたのかもしれない。
翌朝、リビングで新聞を読む夫に、私は切り出しました。「私一人でやるから、休日はゆっくりしてていいよ」。夫は少し間を置いてから「うん、じゃあそうしようか」とだけ言いました。それ以上、何も聞かれませんでした。
