脂肪を減らすための「シンプルすぎる」習慣
私も将来のために運動を欠かさないようにしています。いまは平日の朝に4キロ、休日は8キロ、欠かさず走るようにしています。
「そんなに走れない……」と、落ち込む必要はありません。私の運動量は、はっきり言って過剰です。運動が好きだからやっているだけであって、認知症予防にここまでの運動は必要ありません。
皆さんにおすすめしたい運動内容は、拍子抜けするほど簡単なものです。
それは、ウォーキングです。
息が軽く切れる程度の早足で、1日30分程度、週に合計で150分以上歩く。
これが、医学研究に基づくアルツハイマー病の予防に有効とされる運動量です。
努力や根性は一切いりません。アスリートを目指すのではないのですから、心から楽しんで運動してください。
通勤時に1駅分を歩いて、移り変わる景色を楽しみながら散歩する。週末に気の合う友人や家族と一緒に散歩する。そんな楽しい時間として過ごしてみてください。
楽しい運動であるからこそ、長期間にわたって続けやすくもなります。
どの「筋肉」を意識すると運動の効果が激増するのか
アルツハイマー病を予防する手段としてウォーキングを提案しているのは、なにも、それがラクな方法だからではありません。ウォーキングこそ、最も効果的な運動なのです。
その秘密は「ある筋肉」にあります。
2022年にアメリカのヒューストン大学の研究者たちが、非常に興味深い論文を発表しました。彼らが注目したのは「ふくらはぎ」の機能です。
ふくらはぎの筋肉は、腓腹筋とヒラメ筋という二種類の筋肉の総称である下腿三頭筋から構成されています。
このなかでもとくに重要なのが、腓腹筋の下に隠れているヒラメ筋です。このヒラメ筋こそ、アルツハイマー病予防の「鍵を握る筋肉」です。
ヒラメ筋は、歩いていてかかとが地面から離れる瞬間、つまりつま先で地面を蹴り出すときに使う筋肉です。文字どおりその外見が魚のヒラメに似ていることから名づけられました。
ヒューストン大学の研究者たちは、ヒラメ筋が全身の筋肉のなかで最も効率的に糖を消費できることを発見しました。インスリンの力を借りずにどんどん糖を消費してくれる「スーパー筋肉」なのです。
どうやらヒラメ筋には他の筋肉に比べて、糖を取り込むためのドア(GLUT4)がもともと多く存在しているようです。
人類が二足歩行を始めた太古の昔から、歩きやすく、効率的にエネルギーを使えるための筋肉として進化してきたのでしょう。
また、ヒラメ筋は持久力に優れた「遅筋線維」というタイプの筋肉でできているため、長時間歩くのに最も適した筋肉であるとも言えます。
ヒューストン大学の研究成果は、このヒラメ筋を使った運動が、血糖値を下げるのに非常に効果的であることを報告しています。つまり、「歩く」ことです。
これが、皆さんにウォーキングをすすめる理由です。
文/下村健寿

