●光の波長を品種によって最適化。栄養価のコントロールも
同社の高付加価値の野菜とはどのようなものなのか。
具体的には、定番のレタスではなく、ケールや春菊、セロリなどの高い栄養価の野菜を幅広くラインアップしていることが大きな特徴となっている。他社と差別化するための戦略だが、この多品種の育成を可能にしているのが、同社が照明メーカーと共同で開発した高性能LEDだ。
野菜が育つために光が欠かせないのは常識だが、正確にいえば重要なのは「赤色光」と「青色光」だ。赤色光は光合成を促して成長を早める役割を、青色光は徒長を抑えて葉を厚くするなどしっかりとした株を作る(植物の形態を整える)役割を担っている。
きらベジの高性能LEDは、この赤色光と青色光の波長を調整することで、野菜ごとに最適化された栽培環境を実現した。
高性能LEDは栄養価や味のコントロールにも寄与している。例えば、主力のケールは光の波長や栽培環境を細かく調整することで、ビタミンCに特化したもの、ルテインに特化したもの、GABAに特化したものと作り分けることができるので、消費者のニーズにピンポイントで応えることができる。
また、ケールというと「苦さ」が想起される野菜だが、きらきらベジは品種と光の研究を突き詰めることで、苦みを抑えた食べやすい味の野菜の育成にも成功している。現在のメイン顧客は健康志向の強い40~50代というが、味へのこだわりによって、小さい子どもを育てる若いファミリー層にも支持が広がっているそうだ。
●ライフスタイルを変える工場野菜のある生活
筆者も試しにきらきらベジの野菜を実食してみた。
味の感想の前に伝えておきたいのが、工場野菜の使い勝手の良さだ。土を使わず、閉鎖されたクリーンな環境で栽培されているため、虫や泥の付着がなく、さっと洗えば生でもすぐに食べることができる。朝の忙しい時間であっても2~3分あれば、サラダとして食卓に並べることができるのは、働く世代にはありがたいポイントだ。
筆者は家でケールを食べることはほとんどないが、きらきらベジのケールは見た目も緑が濃く、みずみずしくハリがあるのが印象的だった。工場野菜というと露地栽培の野菜などと比べて、少し元気がないイメージがあったが、それが古い認識だと実感した。
肝心の味についても、驚かされた。ケール特有の苦みがほとんどなく、むしろ自然な甘さを感じた。噛めば噛むほど、えぐみのないエキスが出てきて、味わい深い。これなら野菜が苦手な人でももりもりと食べることができそうだ。
きらきらベジの代表商品はケールだが、春菊やセロリ、クレソンなど多様な品種がラインアップされている。さっと洗って使えるのはケールと同様。いずれも本来はくせのある野菜だが、きらきらベジの野菜はすっきりとしていて食べやすい。生で食べてもよし、レンジで温めて食べてもよし、さまざまな調理方法を試したくなった。
これで栄養価もしっかり摂取できるのだから、満足感も強い。筆者の朝ごはんは焼いたトーストにはちみつを塗った手抜き料理であることがほとんどだったが、上にケールを乗せるだけでも丁寧な暮らしをしているような気分にさせてくれた。
昨今は天候不順の影響で野菜の価格高騰が深刻な問題になっており、工場野菜がこうした問題を解決する選択肢として有望であることは間違いない。ただ、魅力は生産の安定性だけでなく、野菜の価値を底上げしてライフスタイルに取り入れやすくする可能性ももっている。筆者も実際に口にすることで、古いイメージをアップデートすることができた。(OFFICE BIKKURA・小倉 笑助)
■Profile
小倉笑助
家電・IT専門メディアで10年以上の編集・記者経験を経て、現在はフリーライターとして幅広い業界で取材活動を行う。家電レビュー、業界のキーマンインタビュー、金融サービスの解説、企業の戦略分析などの記事制作が得意。ポイ活セミナーの講師も務め、生活者に役立つ情報を日々発信している。

