女性初の宰相として高支持率を維持してきた高市早苗首相に、ここにきて陰りが見え始めている。過去の“履歴書問題”が再燃するなか、「補正予算NO」からの急旋回や「消費税ゼロ化」をめぐる迷走など、“公約とのズレ”に対する批判も噴出。各種世論調査では依然として高水準を保ちながらも、保守層の一部からは「言っていたことと違う」と距離を置く声も上がり始めた。“サナエノミクス”への期待は、なぜ失速しつつあるのか。
「自分は日本の軍事問題の権威だって、ウソを書いたの」
女性初の宰相という「冠」を手に入れ、昨秋の内閣発足から高水準の支持率を誇ってきた高市氏。だが、ここにきて「3つの壁」にぶつかっている。1つ目は、頼みの綱である内閣支持率の下落傾向だ。
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が実施した合同世論調査(5月16、17日)によれば、内閣支持率は前月調査から2.2ポイント下がり、68.0%と2カ月ぶりに7割を下回った。不支持率は1.1ポイント増の26.2%だ。
共同通信の調査では4月調査時から支持率が2.5ポイント減の61.3%となり、不支持率は同0.8ポイント増の26.8%となった。
さらにJX通信社と選挙ドットコムの電話調査(5月16、17日)の結果は厳しい。支持率は前月より1.5ポイント増の57.4%となったものの、政権発足以降の調査で初めて「強く支持する」が3割を下回った。
とはいえ、いまだ支持率が6割という高水準にあるのは変わりない。その背景には「女性初の宰相」「保守派のスター」という要因もあるのだろう。だが、高市氏の履歴書を見ると、手を挙げて喜んでいる場合ではないことがわかる。
「女性自身」電子版は5月16日、高市首相の34年前の“告白”が波紋を広げているとの記事を配信した。
それによれば、作家の適菜収氏は1992年4月発行のファッション誌「CLASSY.」(光文社)に収録された高市氏のインタビュー記事に関連し、首相の“経歴”を問題視しているという。
記事は、高市氏が1987年に渡米し、米民主党下院議員のもとで「米連邦議会立法調査官」として1年半勤務していたと紹介している。
「女性自身」の記事では、当時の高市首相がインタビューにおいて「私を雇ってくれと履歴書とかいろいろ書いたんだけど、私の英語力って大したことなかったから、その頃付き合ってた男がすっごく英語ができる男だったんで、ずいぶん添削してもらった(笑)。だいたい私、自分は日本の軍事問題の権威だって、ウソを書いたの」と回答していたと指摘。
その上で「米連邦議会立法調査官」との肩書きは“存在しない官職”と言われており、不自然であると指摘している。
この点、首相は昨年9月の自民党総裁選で“経歴詐称”を問われたが、「コングレッショナル・フェローであったことは事実でございます」と説明した。
ただ、これについても女性自身の記事では、全国紙政治部記者の解説として「無給のインターン」「実際よりも自分を“大きく見せる”ために、肩書きとして不自然な造語を使った可能性が指摘されています」などと紹介している。
陣営の対立候補「中傷動画」問題
最近は首相だけではなく、その「周辺」も騒がしい。「週刊文春」(2026年5月7日・140日号)は、「昨年秋の自民党総裁選(9月22日告示、10月4日開票)の期間中、高市早苗首相の陣営が、対立候補を中傷する動画を作成してSNSに投稿していたことが取材で分かった」と報じた。
他候補などを中傷する動画を作成し、SNSに投稿していたとする経緯などが書かれており、動画作成に関わったとされた松井健氏は5月18日にYouTube番組「NoBorder News」のライブ配信に登場。
松井氏は動画作成を「行いました」と認めた上で、「首相自体が認識していたかはわからないが、公設秘書とやり取りをして実施した」と明らかにした。
ただ、首相は5月11日の参院決算委員会で「(松井氏とは)私自身も地元の秘書も面識のない方でございます」とし、「週刊誌の記事を信じるか、秘書を信じるかと言われれば、私は秘書を信じます」と説明していた。

