来年度、首相が描く官民投資の促進策を加えれば、予算はさらに膨張
4月7日に成立した2026年度当初予算は、一般会計の歳出総額が過去最大の122兆3092億円に上り、国債利払いや償還に充てる国債費は31兆2758億円と初めて30兆円を上回った。さらに来年度は首相が描く官民投資の促進策を加えれば、予算が膨張する見込みだ。
ここに補正予算が上積みされていけば、当然ながら「国の借金」は増えていく。財政膨張は長期金利の上昇にもつながり、さらに利払い費などが積み重なる悪循環を招きかねない。
5月18日には新発10年国債利回り(長期金利)が2.800%と1996年10月以来29年半ぶりの高水準をつけた。長期金利上昇は、住宅ローン金利の上昇を招くだけではなく、企業の経営にも影響を与える。日銀が保有している国債の含み損も巨大になるだろう。
円安進行も気がかりだ。4月29日にはニューヨーク外国為替市場で円相場が下落し、一時1ドル=160円台半ばをつけた。政府・日銀は円安是正のための為替介入に踏み切ったが、円安が進行すれば輸入物価が上昇し、国民生活を脅かす。
実現性が怪しくなってきた「悲願」の飲食料品の消費税ゼロ化
首相が「悲願」とまで語った飲食料品の消費税ゼロ化も実現性は怪しい。
首相率いる自民党は2月の衆院選で「飲食料品は、2年間に限り消費税の対象としないことについて、今後『国民会議』において、財源やスケジュールの在り方など、実現に向けた検討を加速します」と公約した。
だが、政府・与党内ではレジシステム改修に時間を要するとして消費税率を「1%」とする案が浮上しているという。「悲願」になるまでの間、この国の最高権力者はシステムを確認すらしていなかったのかと疑いたくもなる。
先のFNNによる世論調査結果を見るまでもなく、原油価格が高止まりする中で物価上昇に苦しむ国民の声は切実だ。
首相は、飲食料品の消費税ゼロ化について今夏までに意見集約し、秋の臨時国会に関連法案を提出したいとしていたが、本当に実現するのかは不明瞭と言える。
首相は自身の強固な支持層とされる保守派などに向け、それまでも威勢の良い言葉を並べてきた。靖国神社参拝や「竹島の日」式典への閣僚出席などをめぐる“約束”は代表的なものだろう。

