「お別れするのにハグして涙」
一方で、この1、2年は、60代以下からの相談も増えたという。仕事の都合や、立ち退きなどに伴い転居が必要になるも、一般の賃貸住宅から年齢を理由に貸し渋られ、困り果てて相談に訪れるケースもあるという。
ハウスに暮らす60代の女性は、子どもの独立を機に、住まいを縮小することを決めた。
何度も不動産会社に足を運んだが、単身者に紹介される物件の多くがワンルームマンションで、閉塞感があって「しんどいな」と二の足を踏んでいた。そんな折、ホームページでコモンフルールの情報を目にしてすぐに相談した。
満室のため数か月待機し、2024年の春に晴れて入居が決まった。入居の決め手は、住環境がよいこと、利便性が高いことだと言う。駅まで徒歩10分、大型スーパーや商店街も歩いてすぐのところにある。
外国人女性と高齢女性の交流も見られる。基本的には、生活時間の異なる高齢者と外国人のフロアを区別し使用するルールとなっている。とはいえ、外国人女性が出ていくときに、高齢女性が「いってらっしゃい」と声をかけたり、帰宅時に、しばし1階のフロアで歓談したりということはよくあるそうだ。
高齢女性が食事のお裾分けをすれば、外国人居住者がお返しに一時帰国した際のお土産を持ってくる。
年末には、高齢女性のフロアでパーティーを開催した。相互にとても楽しい思い出として記憶されていた。外国人女性は短期滞在も多く、その分別れも多い。
「先日はお別れするのにハグして涙してね」「でもまた帰ってくるってラインがあって待ち遠しい」と、入居者同士の関係は良好のようである。
いつまで住みたいかというこちらの質問に高齢女性は、「できるだけ長く。シェアハウスだと若い外国の人と触れ合えて刺激があって元気になれるから」と回答してくれた。
単身高齢者のリアル ――老後ひとりの住宅問題
葛西 リサ
2026/4/91,012円(税込)224ページISBN: 978-4480077394こんなに難しい「最期の居場所」
老後ひとりになって初めて気づく、あまりにも冷酷な現実
貯蓄があっても賃貸に入居できない? 持ち家でも安泰とは言えない? 8日以上発見されない「孤立死」は年間2万件超。老後ひとりの「最期の居場所」をみつけるのは、こんなにも難しい。一人でも孤立せず生活を続けるためには、どうすればよいのか。不動産業界や民間団体によるさまざまな取り組みを紹介するとともに、日本の市場化された住宅システムの問題点を徹底検証。ライフコースや家族のかたちが多様化し、孤独死予備軍が急増する今、単身高齢者の住まいを保障する社会の仕組みを考える。
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【目次】
はじめに
第一章 孤独死の現場から
第二章 どこで最期を迎えるか――高齢者の住宅問題
第三章 単身化する日本――住宅難民予備軍の実態
第四章 不動産会社による居住支援――「隙間のケア」をどうするか
第五章 家で安心して最期を迎えるために必要なこと
おわりに
参考文献
あとがき
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