白ナンバー・無資格ドライバーが招いた惨事
5月6日午前7時40分頃、福島県郡山市の磐越自動車道で北越高校の男子ソフトテニス部員20名が乗ったマイクロバスがガードレールなどに突っ込み、3年生の稲垣尋斗さん(17)が死亡、5人が重傷を負う事故が起きた。
稲垣さんは対向車線まで投げ出されていた。福島での練習試合に向かう途中だった。
福島県警はマイクロバスを運転していた無職・若山哲夫容疑者(68)を自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで逮捕。同容疑者は「制限速度が時速80キロの区間で90~100キロを出していた。速度の見極めが甘くカーブを曲がり切れなかった」と供述しているという。
若山容疑者は今年に入ってから数回、事故を起こしていた。大型1種免許は持っていたが、旅客運送に必要な大型2種免許を持っていなかった。
北越高校側から依頼を受けたバス会社『蒲原鉄道』(新潟県五泉市)は、北越高校から「貸し切りバスは高いのでレンタカーを使いたい」「ドライバーを紹介してほしい」との依頼を受け、レンタカーを借り、ドライバーとして営業担当者の“知り合いの知り合い”だった若山容疑者を見つけてきたと主張している。
一方、北越高校は「蒲原鉄道の貸し切りバスと運転手が手配されると思っていた」とバス会社の主張するような依頼事実を否定したが、バス会社と書面は交わしていなかった。
マイクロバスには、辺野古沖の小型船転覆事故と同様、教員が同乗していなかった。バスは事業用の緑ナンバーではなく自家用の白ナンバーだったが、顧問はバスが白ナンバーだったことを認識していなかった。
福島県警は自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで蒲原鉄道を家宅捜索。バスは白ナンバーだったが、対価が支払われていれば事業用の緑ナンバーでなければならず、道路運送法で禁じる白バス行為に当たるかどうか、国土交通省北陸信越運輸局で調査を進めている。
文科省が統一基準制定へ、規制強化に乗り出す
松本洋平文科相は一連の死亡事故を受け、5月12日、文科省の関係局長を招集し、事務次官をトップとする「学校活動安全確保対策推進本部」を設置し、さらなる対応策を早急に検討するよう指示。15日に第1回会合が開催された。
「学校保健安全法では、児童、生徒の安全確保のため、学校側が危機管理マニュアルを策定するなどの対策を取るよう求めているが、今回のケースではいずれも教員がその場にいないなど、学校側の安全管理体制に不備があることは明白」(教育問題に詳しい専門家)
文科省は学校側の判断に委ねず、国として規制強化に乗り出す方向で検討を始めた。校外活動に特化した統一基準の制定など、具体的な対策になる見通しだ。
「安全管理体制の不備は、一部の担当者の問題ではなく、学校の体質が絡んでいるということを認識する必要がある。まずは、同志社国際高校と北越高校の事故の背景について、外部有識者を入れた形で徹底した調査を進め、問題の本質を解明した上で、対策を立てるべき」(同)
未来ある尊い命が犠牲となった。
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