私は親切なほうだと思っていた
人気の限定シールが発売されると知って、私は開店後すぐに向かいました。お目当ては、いちばん人気のキャラクター。そのために何枚も手に入れて、あとで交換に出すのが狙いだったのです。
棚には「お一人様3枚まで」と貼り紙がありましたが、私はそれを目安としか思っていませんでした。むしろ、私みたいにまとめて買う人がいるから、このシリーズは売れて、次もまた出る。自分はいいことをしていると思っていたのです。
足元に紙袋をいくつも広げ、近づいてきた女の子に「ちょっと、どいてくれる?」と声をかけたときも、悪いことをしている自覚など、かけらもありませんでした。
「むしろ感謝してほしいくらい」
両手いっぱいにシールをつかんだとき、後ろから遠慮がちな声がしました。
「あの、お一人様3枚までみたいですよ」
振り返ると、若い女性が困ったような顔で立っています。それでも私は、自分が責められる理由がわかりませんでした。
「私みたいにまとめて買う人がいるから、このシリーズは続いてるの。むしろ感謝してほしいくらい」
胸を張ってそう言い返したのです。先に来て、自分のお金で買っているだけ。しかも、お店の売り上げにも貢献している。文句を言われる筋合いはない。本気で、そう信じ込んでいました。
