真似されない場所へ
このままでは、私が選ぶものも、大切にしている人も、すべて彼女になぞられていく。そんな不安が日に日に膨らんでいきました。私が出した答えは、彼女の手の届かない場所で生きることです。思い切って地元を離れ、都心の会社に飛び込みました。慣れない仕事に必死で食らいつくうちに、任される役割は増え、受け取る報酬も着実に伸びていきます。気づけば、自分の力で選んで手に入れた暮らしが、そこにありました。それは彼女が同じお店で買い揃えることも、真似することもできない、私だけのものだったのです。
そして...
地元を離れてから、彼女と顔を合わせることはなくなりました。新しい街での暮らしにも慣れてきた頃、ひさしぶりに彼女からメッセージが届きます。そこには、もう誰の真似もしていないこと、そして最後に一行だけ、こう書かれていました。「あなたの真似をしていたのは、あなたが羨ましかったからじゃないの」。私の持ち物を、好きな人を、欲しがっているとばかり思っていました。でも本当に彼女が手に入れたかったものは、それとは違う何かだったのかもしれません。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
