「はっきりさせなくてもいい」を、私も選んでいた
頭に浮かんだのは、彼の顔よりも先に、自分のことでした。思えば私たちは、付き合おうと言葉にしたことが一度もありませんでした。
いつだったか「私たちって、付き合ってるんだよね?」と聞いたとき、彼は「そういうの、今はっきりさせなくてもいいじゃん」と笑って、それきりでした。私もそこに踏み込むことをしませんでした。確かめてしまえば、この心地よい時間が終わるかもしれない。そう思って、曖昧なままにしてしまったのです。
そして…
私は彼には何も送らず、連絡をくれたその人にだけ「教えてくれて、ありがとうございます」と返して、アプリを閉じました。相手の女性もまた、私と同じように傷ついた人なのだと思うと、責める気持ちにはなれませんでした。柱から離れて、来た道を引き返します。
次に誰かを「彼」と呼ぶときは関係をちゃんと言葉で確かめよう。そう決められただけでも、待った三十分には意味があったのだと思えました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
