気になる場所ばかり
私は昔から、家の隅々まで気になってしまう性分でした。だから嫁が掃除を手伝ってくれるようになっても、つい足りない場所に目が向いてしまうのです。
「乾拭きだけじゃなくて、水拭きもしてちょうだい」
床の皮脂汚れが気になって、そう声をかけました。続けて、「エアコン、全然掃除してないでしょう」と。汚れを溜めれば家のためにならない。その一心でしたが、私の言葉はいつも、できていない場所の指摘から始まっていました。
ねぎらいを忘れて
嫁が換気扇やサッシまで手をかけてくれているのは、本当はわかっていました。それでも私の口から出るのは、まだ足りない場所のことばかり。やってくれたことへのお礼を、後回しにしていたのです。
家のことだけはきちんとしていたいという思いが強すぎて、私は嫁の頑張りを認めるより先に、粗を探していたのかもしれません。嫁の表情が日に日に硬くなっていくのを、見て見ぬふりをしていたのです。
