・下町の工場ならではの美味しさのこだわり
続いて焙煎工程へ。
小川産業では2回に分けて焙煎を行っている。ここで興味深かったのが、小川産業が現在でも直火焙煎にこだわっていることだ。
一般的に大手メーカーでは、一度に大量の大麦を処理できる熱風焙煎(窯に熱風を送り込む方式)を採用しているケースが多いらしい。
一方、直火焙煎は手間がかかるものの、火力や空気の流れを細かく調整しやすい。焙煎中に発生する煙による苦味を抑えながら、大麦本来の自然な香りを引き出せるのだという。
まずは約250度で1分間。巨大な機械の中で大麦が回転しながら加熱されていく。
原理は石焼き芋とほぼ同じだという。砂と一緒に加熱することで、石窯から発生する遠赤外線が効率よく循環し、大麦の芯までムラなく熱を伝えられるそうだ。
窯から出てきた大麦は、まだ薄い茶色だが、すでに香ばしい香りが漂っている。
特別に試食させてもらうと……
ポッ、ポッ、ポップコーンみたい!
サクッとした食感で、味がポップコーンにかなり似ている。ビール工場で麦芽を試食したこともあるが、それとは全く違う。
このままおつまみとして出されても十分成立する味わいだ。
続いて2回目の焙煎。
今度は約180度で1分間加熱する。出てきた大麦は先ほどよりもさらに濃い茶色になっていた。
これだけ高温で焙煎していると、当然工場内は暑い。室温は外気温より10度ほど高いそうで、立っているだけでもじんわり汗がにじむ。
その熱気と香ばしい香り、そして昔ながらの下町工場らしい雰囲気も相まって、まるで夏そのものの中にいるような気分だった。
なんか急にポエムっぽくなってしまった……
ここで、焙煎前、1回目焙煎後、2回目焙煎後の大麦を並べて見せてもらった。比べてみると違いは一目瞭然。色だけでなく、焙煎後の大麦はふっくらと膨らんでいる。
ちなみに、焙煎には重油を使用しているそうだ。
近年はホルムズ海峡情勢などの影響でエネルギー価格が変動しているが、その影響は麦茶工場にも及んでいる。麦茶工場に来たつもりが、原料価格の高騰や国際情勢の影響を実感することになった。
・人と機械の融合
焙煎された大麦は包装工程へと進み、機械によって1分間に約50個というペースで製品化されていく。
次から次へと流れていく様子は、見ていて飽きないなぁ。
訪問時、生産していた製品は三角タイプ。担当者によると、四角いパックよりも中で麦が動きやすく、お湯の中でしっかり対流するため、効率よく抽出できるのだという。
その後の袋詰めや箱入れは、手作業で行われているとのこと。
