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プロポーズするはずだった店を、僕は直前でカフェに変えた。指輪をポケットに入れたまま帰った日のこと

プロポーズするはずだった店を、僕は直前でカフェに変えた。指輪をポケットに入れたまま帰った日のこと

ポケットから出せなかった

けれど、いざその瞬間になると、僕は当たり障りのない世間話ばかり続けてしまいました。ポケットの中の小さな箱に何度も指先で触れながら、視線は相変わらず落ち着かないままです。彼女が不思議そうにこちらを見ているのも、よくわかっていました。急にお店を変えたうえに、こんなにそわそわしていては、彼女が不安になるのも当然です。それでも、ここまで来て切り出せない自分が情けなくて、よけいにきっかけを見失っていきました。結局その日、箱はポケットに入れたまま。お店を出るころには、すっかり気まずい空気になっていました。

そして...

駅へ向かう道で、僕は「今度、埋め合わせするから」と口にしました。彼女には、ただの中途半端な一日になったかもしれません。本当は「次こそ、ちゃんと伝えるから」という気持ちを込めたつもりでした。

家に帰り、ポケットから箱を取り出します。彼女を一番に思って選んだ場所で、肝心の言葉を伝えられなかった。その情けなさを、何度もかみしめました。それでも、あの気取らないカフェを選んだこと自体は、間違いではなかったと思っています。次に会うときは、飾らない言葉で、まっすぐに気持ちを伝えるつもりです。今度こそ、ポケットの箱を、彼女の前で開けるために。

(20代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

配信元: ハウコレ

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