かつて1億ほどだった予算が半減を重ね、今は…… 危機に瀕する大学の研究
――現在、研究の継続が危機的な状況にあるとのこと。もし理由があれば教えてください。
村松教授:日本の大学の研究は、一般的に危機的です。また、東京大学はある程度、恵まれていると思い込んでいたのですが、私たちのプロジェクトも大学全般の研究活動も、人員が減っています。ぎりぎり基本の人件費が出せる場合でも、人文学の学部によっては、期間が限られている研究費の切れ目にでもなれば、1人年間数万円の予算もつくかどうか。非常に追い詰められています。理系では事情が異なる場合もありますが、日本の大学の研究は昨今、非常に危機的な状況に突入しています。
従来もっていた基本的な研究費が大きく削られた結果として、このプロジェクトでは、そもそも遺跡の発掘費用自体が捻出できなくなりつつあります。
――大学の研究費が減ってしまった理由としては、どのようなものが考えられるでしょうか。
村松教授:文教予算が減っていることが大きいです。その背景には、日本自体が貧乏になっていることもあるでしょう。福祉・医療・安全保障など、社会でお金を分配するにあたって、文化教育への予算と社会としての投資自体が縮小しています。
そこで、東京大学では、20年くらい前から“東京大学基金”を始めました。海外の大学でよくなされているように、寄付の受け皿を作ったんです。それでも、研究室によっては、コンピュータを買うことはもちろん、リースの維持さえ難しいという状況があります。
ソンマのプロジェクトの場合、現在の予算では、新たな発掘はおろか、既存の発掘の続きや資料の保存・研究・修復すらできないということになりかねません。このような危機的な状況は極力避けたい!
「寄付」でできること
――現在、東京大学基金で「緊急支援キャンペーン」を行っていると聞きました。達成したい目標を、短期のものと長期のもの、両方教えてください。
松山さん:6月末まで緊急支援のお願いを行っています。目標額は1500万円です。6月7日時点の達成率は25%ほどで、徐々に増えてはいますが、まだ道のりは遠いです。
――この金額があれば、何ができますか?
松山さん:1500万円というとすごい額と思われるかもしれませんが……実はこの額で実施できるのは、最低限の規模の発掘調査だけなんです。プロジェクトを続けるにあたっての最低限ではありますが、調査員の派遣と遺跡の維持・管理が可能になります。
また、遺跡を縦に深く掘ることはできないのですが、横に掘ることはある程度できます。1メートルでも1.5メートルでも横に掘り広げて、昨年の調査で見つかった壁の向こう、ひょっとすると、アーチ構造の出入り口が設けられているかもしれない場所を、ほんの少しでもいいから、ぜひ見てみたいです。
松山さん:いま見えているところは、7つのかまどがあるなど、基本的に作業ヤードなんですよ。ハレとケでいえば、ケの部分ですね。でも、ポンペイなどでもそうですが、台所から壁をひとつ隔てた反対側がきれいに装飾された回廊、なんてこともあるんです。だから、この建物のハレの部分が少しでも見られたらありがたい、トンネル掘りしたい、というのがあります。
ただ、この辺まで実現するとなると、資金的には3000万円ほど必要となります……。ですので、今年はここが出入り口なのかをハッキリさせて、向こう側の空間が部屋か廊下かあるいは何かの施設か、ちょっとでも確認したい! という状況です。

