AI時代に「人の手」で掘る意味
村松教授:掘る以外にも、これまでに色々な方法を使いました。地中探索(地上から電磁波や音波を流して地中の構造などを探知する手法)や、ピラミッドの透視に使われるミューオン(宇宙線の一種)など。でも、火山性の土壌は均質じゃないので、ソンマではなかなかきれいなデータが出ないんです。
松山さん:地中探査で見えるものは、埋まりかたの条件によりますよね。
――だからこそ人の手で掘るんですね。
村松教授:大まかに掘るときは、大型機材とかロボット・AIとかでもできるかもしれないですけどね。その後の繊細な部分は、人間の感覚に頼りながら行います。
――皆さんのご活動を、現地の人はどのように受け止めているでしょうか。
村松教授:最初は「何やるんだろう?」ってかんじだったんですよね。
松山さん:拒否はされませんでしたが、うさんくさげには見られました(笑)。やはり今のような関係性を育むには長い時間がかかりました。ちなみに、毎年発掘調査が終わるときには、現地説明会をします。イタリアはそういう習慣がないので、非常に珍しがられますが。また、ここ数年は、古い時代の建物がみつかったことが現地でも報道されるようになり、訪問者が増えました。昨年の一般公開日の入場者数は、近郊から約1000人でした。
――20年以上かけて地元との関係をつくってきたからこそできる研究なのですね。アウグストゥスの別荘からみた古代ローマの繁栄と衰退、この“2000年解けぬ謎”が解明されるのを楽しみにしています。
取材協力:東京大学「ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査プロジェクト」
文:近藤仁美(こんどう・ひとみ)
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』『マジカル頭脳パワー!!2025』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。国際賞「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に、『クイズ作家のすごい思考法』『世界を変えた「凡ミス」図鑑』などがある。

