経済学者の竹中平蔵氏は高市政権について「不思議な政権」と指摘する。「データを見れば、今の政権の足盤は決して弱くありません。しかし、最大の問題はその強大なポリティカル・キャピタルを使って、一体何がやりたいのかが見えないという点です」。竹中氏が解説する――。
政党支持率の低さを懸念する声もあるが
現在の高市政権を見ていると、私は非常に不思議な政権だなという印象を抱いています。政権運営において最も重要なもののひとつは、言うまでもなく「支持率」の維持です。
支持率というのは、政治家にとって政策を実現するための「ポリティカル・キャピタル(政治的資産)」そのものです。
発足から7ヶ月が経過した時点での高市内閣の支持率は、NHKの直近の調査で約60%、最近のJNNの調査では70%という極めて高い数字を叩き出しています。これは驚くべきことです。
小泉純一郎内閣の同時期が約70%、安倍晋三内閣が57%程度だったことを考えれば、高市政権は今、歴代の強力な長期政権に匹敵するほどのポリティカル・キャピタルを保持していることになります。
自民党内には政党支持率の低さを懸念する声もありますが、現実のデータを見れば、今の政権の足盤は決して弱くありません。
一体、何がやりたいのかが見えない高市政権
しかし、最大の問題は「その強大なポリティカル・キャピタルを使って、一体何がやりたいのかが見えない」という点です。小泉さんは、高い支持率を背景に「不良債権の処理」と「郵政民営化」という痛みを伴う大改革を断行しました。
安倍さんは「安全保障法制」という、国を二分するようなテーマに正面から挑みました。では、高市さんは何を実現するために総理になったのでしょうか。憲法改正なのかもしれませんが、それも明確には伝わってきません。
やりたいことが明確になれば、当然ながら強い反対運動も起きます。しかし同時に、強く支持する熱狂的な層も生まれる。賛成と反対ががっぷり四つに組み合う形になる方が、実は政権としては安定するのです。
今の高市政権は、何をやりたいのかが十分伝わっていないため、非常にフワフワとした状態で高支持率だけが維持されています。結果として、政治主導の政策が見えず、役所主導で物事が決まっていく「張子の虎」のような状態になっている危うさを感じます。

