世代間の対立や不満がマグマのように溜まっているのに
しかし今、そうした真っ当な意見を正面から国民に説ける政治家がいなくなってしまいました。
「消費税をゼロにする」「給付付き税額控除をやる」といった耳当たりの良い言葉ばかりが並び、いざ政権に就けばバラマキ的な政策しかやらない。若い世代は社会保険料の負担増に不満を抱えながらも、数が少ないために政治勢力になりきれず、投票率も上がらない。
世代間の対立や不満がマグマのように溜まっているのに、政治はそれを直視せず、補助金という麻薬でごまかしているのが現状です。
このビジョンなきポピュリズムは、マクロ経済と金融政策の現場にも極めて深刻な歪みをもたらしています。私が今、最大のリスクだと考えているのは「国債バブル」の存在です。
現在、世界中で過剰流動性(カネ余り)が発生しており、5年、7年という周期でバブルが各地を移動しています。ITバブル、サブプライムローン、中国の不動産バブルを経て、今は有事のドル買いでアメリカの株高が起き、その余波が日本にも押し寄せています。
しかし、日本の足元を見てください。これだけ巨額の国債を発行しておきながら、金利は不自然なまでに低く抑えられています。本来、国債の価格はもっと下落し(金利は上昇し)て然るべきです。つまり、今の低金利そのものが「国債のバブル」なのです。
政府と日本銀行のいびつな関係
この不自然な状況を作り出している一因が、政府と日本銀行のいびつな関係です。5月の下旬に、高市総理と日銀の植田総裁が密室で面会していました。
小泉内閣の時代、あのような密室でのすり合わせは絶対にやりませんでした。経済財政諮問会議や月例経済報告というオープンな場で、各閣僚とともに議論するのが筋です。
あの密室協議は安倍内閣と黒田総裁の特殊な関係から始まったものですが、国会同意人事の生殺与奪を政府・財務省に握られている日銀総裁は、密室に呼ばれれば忖度せざるを得なくなります。
植田総裁は「物価上昇を抑えること」と「投資を促進すること」が重要だと発言しました。これを読み解けば、「物価は政府が補助金で抑えるから、投資を冷え込ませないために日銀は金利を上げないでくれ」という政府側からの強烈なメッセージの表れとも受け取れます。
とはいえ、現実のマクロ経済はすでに限界を迎えています。

