・腰抜け
3分前まで素早く動いていた私の手はスローになり、あひるねこに関しては完全にフリーズしているではないか。「やべえ……ちょっと……ちょっと……」と意味不明に口走るあひるねこの目は虚ろだ。
「いや……おかしい。家だともっと食べられるんだけどな」
「家ではいつも100個作ってるんですよ……!(キリッ)」
「家の餃子はもう少し小さいからか(笑)」
うるせえ。いいからサッサと食え。
・口ほどにもない王
追加注文の4皿がやって来た時点で、あひるねこの手は完全ストップ。というか、こんなことは言いたくないがここまでの50個はどんな少なく見積もっても3:2で私の方が多く食べている。こいつ、マジで口ほどにもねえな。しかも……。
スマホでポチポチやっているかと思いきや、
ビールを注文しやがったッッッ!
「餃子を食べる時はいつもビールなんですよ。ビールさえあれば食べられますから」と言い訳しつつ、あひるねこは生ビールをグイッと流し込む。そして……
餃子を眺めているだけ……ッッ!
結果、私が主となりなんとか4人前の餃子を食べ切った時点でギブアップ。合計14人前の餃子を平らげたので、1人あたり450円得した計算になる。つーか、1人で200個食べたのってギャル曽根本人だろ。
店を出た後、私を支配していたのは餃子食べ放題の難しさでも腹パンになったことでもなく「これほどまでに口ほどにもない男が存在するのか」というある種の戦慄にも似た感情だ。
特に「家ではいつも100個作ってるんですよ(キリッ)」は今でも頭の中をリフレインしている。彼の無意味に勇ましい表情を私は生涯忘れることはないだろう。
最後に「餃子食べ放題はおっさんでもギリ元が取れる」という検証結果よりも「あひるねこはマジで口ほどにもない!」と渾身の力でお届けしてこの記事を終わりにしたい。あひるねこ、身の毛もよだつ口ほどにもない男である。
